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[プロ野球]
田口壮×二宮清純<前編>「イチローのレーザービーム、ここがすごい!」

ワールドシリーズ、日本シリーズ特別対談

2012年10月25日(木) スポーツコミュニケーションズ

田口、本西、イチロー、鉄壁の外野陣

二宮: 翌年もオリックスはリーグを連覇。日本シリーズでは巨人を4勝1敗で下し、オリックスとしては初の日本一に輝きました。
田口: この優勝はうれしかったですね。96年のチームは負ける気が全くしませんでした。トロイ・ニール、 D・Jの両外国人が勝負強かったですし、馬場(敏史)さん、勝呂(壽統)さんとチームを縁の下で支える選手も揃っていました。

二宮: 私がこのシリーズで一番印象に残っているのはオリックスが日本一を決めた第5戦です。4回、巨人の井上真二がセンター前に放った一打を、本西厚博がダイレクトキャッチしたように見えました。ところが二塁塁審はワンバウンドの判定。これに怒った仰木彬監督が猛抗議をした。この抗議を仰木監督は10分で切り上げ、試合を再開させました。判定に納得できない選手たちの気持ちに応えつつ、試合の雰囲気を壊さないようにする絶妙な抗議時間でした。詳しくは私の著書『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)に紹介していますが、もうひとつ驚いたのは試合再開までの準備中にレフトの田口さんとライトのイチローが大遠投のキャッチボールをみせたことです。当時、セ・リーグの外野手であんなパフォーマンスができる選手はいなかった。あれを見ただけでもオリックスのレベルの高さを感じましたよ。
田口: ありがとうございます。僕は結構投げるのに必死だったですけどね(笑)。肩はイチローのほうが強かったと思います。僕のスローイングはシュート回転するので、距離が出ない。イチローは元ピッチャーだからボールの回転がきれいでした。

二宮: 日本プロ野球で最高の外野陣といえば、阪急の大熊忠義、福本豊、バーニー・ウィリアムスや、西武の吉竹春樹、秋山幸二、平野謙などが挙がりますが、オリックスの田口、本西、イチローのトリオも、それらに匹敵する布陣だったのではないでしょうか。左中間、右中間を抜かれてもレフト、ライトが強肩だから簡単に三塁まで行かせなかった。
田口: センターの本西さんが巧かったので、そもそも右中間、左中間を破られるという感覚がなかったですよ。ランナーが二塁にいる時も、内野は二遊間だけは破られないようにしてレフトとライトはやや前進守備。その分、センターの本西さんは深めに守って右中間、左中間をカバーするというフォーメーションを採っていました。レフト前、ライト前のヒットならホームで勝負できる。

二宮: ランナー一塁でライト前ヒットを打たれても、イチローがよく三塁で刺していましたね。
田口: イチローはスタートを遅らせたりして、わざわざランナーが三塁に行きたくなるようなタイミングにするんですよ。それで二塁を回らせて三塁でアウトにする。僕はセオリー通り、二塁でストップさせるように守っていたんですけど、彼は相当、肩に自信があったんでしょう。二塁を回るとニコッと笑って送球していた(笑)。天才の為せる業だなと感心しましたね。

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