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[プロ野球]
田口壮×二宮清純<前編>「イチローのレーザービーム、ここがすごい!」

ワールドシリーズ、日本シリーズ特別対談

2012年10月25日(木) スポーツコミュニケーションズ

 日米ともに野球シーズンは佳境を迎え、ワールドシリーズ、日本シリーズを残すのみとなった。両国の頂上決戦でプレーし、双方で優勝を経験している日本人選手のひとりが、このほど現役引退を発表した田口壮だ。頂点に立った者だけが知る短期決戦の舞台裏や、日本とメジャーリーグの違いについて二宮清純がインタビューした。

ダルビッシュのボールはメジャートップクラス

二宮: 20年を超える現役生活お疲れ様でした。9月の引退会見では、思わず涙をこぼされる場面もありましたね。
田口: 実は僕自身、あの会見まで「引退」という言葉は1度も口にしたことがなかったんです。(各球団の補強期限となる)7月31日までにオファーがなかった時点で嫁には「やめるわ」と話をしていたんですが、「引退」という表現は使ってこなかった。会見で初めて「引退します」と言った瞬間、その重みを感じて胸が詰まってしまったんです。

二宮: 今季は所属先は決まっていませんでしたが、いつ声がかかってもいいようにトレーニングは継続していたんですね。
田口: はい。7月31日までは諦めていませんでした。昨オフに肩を手術しましたが、リハビリをして、プレーできる段階にはなっていました。まぁ、ただ43歳という現実を考えたら、手を上げてくれる球団はなかったかなと……。

二宮: 練習をしながら日米の野球もチェックしていたと思いますが、今季最大の注目選手はレンジャーズに移籍したダルビッシュ有でした。メジャー1年目の成績は16勝9敗、防御率3.90。テキサスの暑い夏を考えれば、1年間、ローテーションを守って、この成績ですから充分、評価できるのではないでしょうか。
田口: ロン・ワシントン監督の起用法もうまかったですね。彼は入った時点で既に先発2番手くらいの実力があったはず。でも、ワシントン監督は最初、先発ローテーションの4番手で彼を使いました。2番手だと相手も力のあるピッチャーが出てきて、打線の援護が得られない可能性が高い。だから敢えて最初は4番手にすることで、まずは勝ち星をつけることを優先したのだと思います。

二宮: 結果を出すことで、メジャーリーグにうまく順応させようという“親心”があったんですね。
田口: 最初は完璧な状態でなくても、白星が積み重なっていったことで、だんだん調子が上がっていきました。その意味ではワシントン監督の計算通りと言えるでしょう。シーズン中も、中5日に間隔を空けたり、先発を1回飛ばしたり、疲労が蓄積しないように気をつけていましたね。

二宮: 最後はワイルドカードゲームの先発を任せられるほど、チームの柱になっていました。来季のさらなる活躍が楽しみです。
田口: 今季も、もうあと2、3勝して20勝近い成績になっても不思議ではなかったと思います。映像で見る限り、シーズン終盤のボールのキレはメジャーでもトップクラスでしょう。相当研究して、狙い球を絞らないと簡単には打てない。日本時代に対戦した時からスライダーの曲がりが大きくて鋭く、メジャーでも十分通用するピッチャーだなと思っていましたが、海を渡って、さらに進化したのではないでしょうか。

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