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慈恵医大病院10万人のデータで検証する
「小太りが長生き」は本当か男50歳で痩せるべきか

 一見、メタボには見えない。自覚症状もない。しかし、そんな貴方の身体の中を危険因子が蝕み始めている。専門医たちが明かす、「捨てるべき健康法」と「取り入れるべき新たな生活習慣」を紹介しよう。

間違ったダイエットに要注意

「医療の根源は食にある。大の大人が痩せるために腹ペコになって、その代償として健康的な身体が手に入る、なんて考えるのは幻想。人間は少しくらい太っているほうが健康に良い」

 世を挙げてのダイエットブームに真っ向から反論するのは先頃、『その健康法では「早死に」する!』を上梓した高須クリニック院長の高須克弥氏だ。

「人間が健康な状態であるということは、まず栄養状態が良いことが大前提。栄養状態が良好で、ある程度の蓄積があるならば、病気になったとしても治療から完治まで耐えることもできるんです。人間の身体はとても精妙にできていて、頭を使えばブドウ糖が消費されて甘いものが欲しくなるし、体を使って汗をかけば、塩分を多く含んだものを食べたくなる。下手に我慢したり、サプリや薬でごまかすより、自然な身体の欲求に正直に従うことも健康にとっては大事。脂肪のストックに限度はあるが、我々はもっと健康的に太ることを考えるべきです」

 いまでは、すっかり人口に膾炙したメタボリックシンドローム(メタボ)という概念が日本に定着したのは'05年。もともとは死因の第1位である心臓疾患を引き起こす「太りすぎ」が社会問題化していたアメリカで生まれたが、同年、日本人のためのメタボ診断基準が発表され、メタボの名は一躍、全国に知れ渡った。

 だが、現在、少し太り気味のメタボ体型だといっても慌てる必要はないという。

 '99年から日本で初めてメタボの目安となる腹囲測定を人間ドックに取り入れ、'05年までに10万人以上を調査してきた東京慈恵会医科大学附属病院の和田高士医師も前出の高須氏と同様に「小太りのほうが健康にいい」と太鼓判を押す。

 同病院では10万人に聞き取りした家族歴や現在の体調、食生活や運動に関する生活習慣のデータをもとに、どういう人がメタボの目安とされる腹囲85cm(男性)、90cm(女性)以上になりやすいのか、どういう人間がメタボになりやすいのかを分析する。用意された23項目に「はい」「いいえ」で答えると、過去の患者の属性を元に、自分が5年以内にメタボ、高血圧、糖尿病になる確率が算定されるのだ。

 そして、そこで明らかになったのが「痩せていることが健康」という従来の常識を打ち壊す事実だった。

 たとえば「身長が164cmで、体重が65kgの男性」をモデルに考えてみたい。この身長の場合、医学会で理想とされるBMI(体重「kg」を身長「m」で2回割った数字で肥満指数を表す)の標準値「22」は58kgほどになる。そのため65kgはかなり重いということになるが、10万人データの結果を見た和田氏はこう警鐘を鳴らす。