経済の死角

サムスンと鴻海を日本で最も知る男の熱い討論 吉川良三×大槻智洋 シャープがダメになった理由それは社長が命懸けで仕事していないから

2012年10月25日(木) 週刊現代
週刊現代
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存亡の危機に瀕している企業の経営者にしては、血色がよく、ふくよかな顔の奥田隆司社長〔PHOTO〕gettyimages

 シャープは断腸の思いで5000人のリストラを決定したが、目まぐるしく変化する電機産業界では判断が遅すぎる。サムスンと鴻海、世界的企業となった両社では、常に即断即決が求められている。

基本の発想が間違っていた

大槻 世界の電機産業は、デジタル化によって様相が一変しました。新興国メーカーが最新技術に追いつくのが容易になり、競争はますます激化しています。アップル、サムスン、鴻海精密工業など世界の巨大企業に共通するのは、「3年先に同じ仕事はない」という危機意識だと思います。それに比べ、どうしても日本のメーカーはいまだに旧態依然とした経営に甘んじているように見えてしまいます。

吉川 日本メーカーの退潮は明らかですが、現在のシャープの窮状は、その代表例です。

 象徴的な話があります。

 '03年頃、当時の町田勝彦・シャープ社長は、液晶事業の好調に気を良くして、4000億円を超える莫大な額の投資をして三重県・亀山工場での液晶テレビ一貫生産に踏み切った。

 同時に、「テレビ事業は、高付加価値のオンリーワンでいく」と宣言したのです。これを聞いたサムスンのテレビ事業担当者が、

「これで勝った」

 と言ったことをいまでもよく覚えています。

大槻 サムスンはシャープの巨額投資が失敗に終わることを見通していたんですね。

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