テレビのヨミカタ
2012年10月24日(水) 高堀 冬彦

生活保護問題の過熱報道を不問に付したBPOの判断は正しかったのか? ~いま、テレビに問われる放送倫理 

upperline

 沖縄県で2人の米兵が20代の女性を集団強姦する事件が発生し、市民から怒りの声が噴出している。同様の事件は過去いくつもあり、その度に再発防止策が実施されたが、役立った試しがない。95年9月には12歳の小学生が3人の米兵に拉致・監禁された上、やはり集団強姦される事件が発生した。鬼畜の所業に沖縄県民は激高し、反米軍基地感情は沸点に達した。

放送内での不用意な発言が後を絶たない

 この17年前の事件の直後、実はある民放の若者向け公開生番組で、司会の男性タレントが、信じがたい暴言を吐いた。若い女性の観客をこう罵倒したのだ。

 「おまえなんか、沖縄に行って、レイプされてまえ!」

 耳を疑った。タレントは30歳前で、十分に分別があるとは思えなかったが、悪い冗談で済まされる話ではない。当時、新聞社の放送担当記者だった筆者は発言を記録した上で、民放の広報部に連絡を入れた。

 その時点で広報部は事実を把握していなかった。広報部員も生放送を常にチェックしている訳ではない。放送は平日の夕方。各新聞社は早版の製作に入っており、慌ただしい時間帯だった。

 結局、最後まで局側からの連絡はなかったため、筆者は記事にしなかった。デスクも同じ判断を下した。その民放やタレントの立場を斟酌したのではない。もしも、あの時点で記事を書き、発言内容が広まった場合、被害者や関係者に大きなダメージを与えるのは確実だし、沖縄県民に失望と憤怒が広がるのは火を見るより明らかだったためだ。

 このケースに限らず、生放送内で不当な差別を助長するなどの酷い発言があった際、新聞・通信社は報道被害の拡大を避けるため、記事化しないことがある。今回、あえて明かしたのは、放送内での不用意な発言が後を絶たないからだ。『週刊朝日』ばかりを指弾している場合ではない。

 新聞・雑誌の記事はデスクや校閲など複数のチェックが入る。片やテレビの場合、生番組の発言はそのまま数百万人、数千万人の視聴者に伝わる。責任重大だが、その認識と覚悟が出演陣たちに十分あるのだろうか。

次ページ  今年5月、タレント・河本準一…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事