2012.10.25(Thu)

才なくとも、赤心があればよい。
「傘の神様」が悲しむような
真似だけはしないと
決めています。

シューズセレクション 林秀信

週刊現代
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日本国内で流通する傘の約17%を製造・販売する隠れた大企業『シューズセレクション』。『Waterfront(ウォーターフロント)』ブランドを展開し、ボタン一押しで自動開閉する折りたたみ傘、骨がカーボン製の強い傘などを500~1000円の廉価で販売、生産量は年間2000万本を超える。社長の林秀信氏(65歳)は、経営者と言うより、傘に魅せられた求道者のような人物だった。

才なくとも、 赤心があればよい。 「傘の神様」が悲しむような 真似だけはしないと 決めています。はやし・ひでのぶ/'46年、長崎県生まれ。長崎県立長崎工業高校卒業後、物販業などの経営に従事。その後、飲食店を経営するも、幼少期に感じた傘の魅力が忘れられず、'86年、40歳で、シューズセレクションを立ち上げる。社員30名ながら、国内シェア17%を誇るトップメーカーへと育てあげた

傘への愛
  雨降りの日、傘を目にする機会が多いから、思わず「今日はいい天気だなァ」と言ったら、社員に笑われてしまいました。寝ても覚めても傘のことを考えているんです。人生の目標は、万年筆サイズの超小型折りたたみ傘を作ること。新しい機構は寝ている時に思いつくことが多いので、枕元には必ず、メモと傘の骨組みを置いています。

職人の目
  傘に惹かれた理由は「美しさ」。あとは「傘をさす人のたたずまいが好き」だからでしょうか。子どもの頃、近所に番傘を貼っている職人さんがいたのです。長崎のド田舎で、しかも昔の話だから、勝手に家へ入って内職の様子を見ていても怒られなかった。紙に油を塗って、一枚一枚貼っていくさまに、ずっと見とれていましたね。5~6歳の頃の話です。

転機
  起業したのは'86年、40歳の時です。高校を卒業して様々な職に就き、飲食店経営で成功して都内にも20店舗ほど構えていました。でも幼少からの傘への愛着は消えず、『私が仕事にしたいのは、本当は傘なのではないか』と思い始め、次第に『傘を作らず何のための人生なんだろう』と考えるようになったのです。起業する時、店は全部売り払いました。今持っているものを手放さなければ、本当に大切なものは持てないからです。

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