「息子と僕のアスペルガー物語」 ライフ

「息子と僕のアスペルガー物語」 時間に細かすぎる親子

奥村 隆 プロフィール

歴代横綱の生年月日と通算勝敗数を覚えている

 そして、番組が説明していたASDの二つ目の特徴は「特定のことへのこだわりが強い」というものだった。たとえば、自分のスケジュールを崩されるのを極端に嫌ったり、特定の事柄については深い知識と旺盛な興味を持つものの、それ以外の分野のことはまったく知ろうとしなかったり、といった人が多いのだとか。

 確かに息子は、普段は穏やかで明るく、申し分のない性格なのだが、一つだけ"怒りのツボ"がある。事前に立てた予定が変わってしまうと、感情を爆発させることがよくあるのだ。シクシクと泣き出してしまう場合もあり、家族もどうしたらいいのか、途方に暮れることが珍しくない。

 たとえば家族で外出するときなど、出発が、あらかじめ決めておいた時刻から少しでも遅れるようなことがあったら大変だ。何の用意もできていないのに、息子はいきなり「あ~、もう遅れちゃう!」と叫んで、一人で玄関から外に飛び出してしまう。出発が遅れたところで何も困らない遊びの外出であっても、息子は激怒する。

 このように突然、豹変するので、家族は驚くばかり。まさにテレビ番組が指摘していた「スケジュールを崩されるのを極端に嫌う」という特徴がそのまま当てはまるのだ。

 

 一方で息子は、数字に強くて、算数が大得意。数字に関する記憶力も凄く、ギネスブックを買い与えれば、そこに書かれた記録の多くを記憶してしまう。大好きな相撲に至っては、歴代横綱の生年月日から通算勝敗数まで覚えている。数字以外のことに興味を持たないかどうかはわからないが、「特定の事柄に深い知識を持つ」のは間違いなかった。

一度、息子を診察してもらおう

 もちろん僕も、テレビ番組が説明したたった二つの特徴に当てはまるというだけで、すぐに息子をASDだと信じたわけではない。

 しかし、番組に出演していた専門家によれば、「子供のときに、ASDだという診断をきちんと受けておけば、後にいろいろな対処が可能になる」というし、子供の頃から対人関係を築くことが苦手で、「変わった性格」だと思われてきた人が、成人してASDと診断されたケースも増えているそうだ。後者はいわゆる「大人の発達障害」である。番組では、そうした人たちの子供時代から続く苦労や悩みも丁寧に紹介されていた。