「息子と僕のアスペルガー物語」 ライフ

奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第1回】時間に細かすぎる親子

奥村 隆 プロフィール

 親の僕が言うのも何だが、息子は利発で明るい子供だ。ゲームもやらず、テレビもほとんど見ないせいか、今の子供たちにありがちな"すれた"感じがなく、乱暴な言葉使いも一切しない。

 朝食と夕食は家族と卓を囲み、その日に起きたことを、嬉々としていくらでも話してくれる。親の手伝いも欠かさない、家族思いの、とても優しい子だ。近所の大人たちからも可愛がられている、自慢の息子でもあった。

 でも、そんな息子には、幼稚園の頃からずっと気になる点があった。同世代の親しい友達が、一人もいなかったのである。

 僕が幼稚園の授業参観に行ったとき、息子は休み時間にずっと一人で鉄棒にぶら下がり、グルグルと前回りをしていた。小学校に入ってからも、放課後に友達と遊ぶことはほとんどない。

 

 休日、僕と近所を歩いているとき、道でバッタリ会った同級生から「お~い!」と呼びかけられても、いつも完全に無視する。そのたびに「友達が呼んでいるよ。どうして答えないんだ?」と尋ねると、息子は「え、そんなことあった?」ととぼけるのだ。家の中で見せる明るく朗らかな姿とは、まったくかけ離れている。

 「よもや、学校でいじめられているのか?」と疑い、調べたこともあった。でも、そんな事実は出てこなかったし、本人も強く否定する。

 そもそも、息子の行動をよく見ると、一人でいてもまったく寂しそうではないのだ。誰かに迷惑をかけているわけでもないので、僕も「ただの内弁慶かもしれない」と自分に言い聞かせ、それ以上は気にしないようにしていた。

 しかし、「息子はもともと、他人の気持ちを推し量ることや、人間関係を構築をすることが苦手なのだ」と考えれば、一連の不思議な行動を説明できる---。テレビ番組を見ていて、僕はハッと気づいたのである。