企業・経営
ソフトバンクのスプリント・ネクステル買収が迫る情報通信政策の開国
記者会見に臨むソフトバンクの孫正義社長と、スプリント社のダン・ヘッセCEO〔PHOTO〕gettyimages

文/ 吉川尚宏

もはや当局との「あうんの呼吸」は通じない

 10月1日にイー・アクセスの完全子会社化を発表したばかりのソフトバンクが、10月15日には米国のスプリント・ネクステルの子会社化を発表した。1.6兆円にも上る買収であるため、先に発表されたイー・アクセスの完全子会社化に伴う周波数割当問題はすっかり霞んでしまった。しかし、国内の携帯電話キャリアの寡占化が進むことで価格競争が起き難くなることを考慮すれば、国民生活への影響は無視できない。

 イー・アクセスの完全子会社化に伴う周波数割当問題については既に数多くのメディアでも指摘されているとおりである(たとえばhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/33733)。すなわち、700MHzの周波数を3社に付与する場合には、既に900MHzの周波数を付与された事業者には申請の資格がないとしていたわけであり、今回のM&Aによってイー・アクセスへの周波数免許付与の前提条件は覆されたことになる。新聞報道によれば、電波監理審議会は総務省に対して調査を行うよう指示したということなので今後の当局からの調査結果の発表を待ちたい。

 ただし、筆者がこれまで主張してきたように、900MHz、700MHzの周波数免許割当についてはそもそも数多くの問題があった(たとえばhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/32086)。「オークション」ではなく「オークションの考え方」に基づいた入札方式では結果的に各社の入札金額が上限価格にはりついて意味をなさなかったし、比較審査方式の評点の判断にも疑問が残るものが散見された。

 特に700MHzの周波数割当については時間をかけて制度設計を行う猶予があったにもかかわらず、急いで免許付与を行っており、もしこのままイー・アクセスに免許が付与されるとすると、当局の制度設計の欠陥が露呈することになる。

 当局は既存の通信事業者との「あうんの呼吸」による免許付与をこの際一切やめ、しっかりした制度設計のもと、通常のオークションを実施する方向へと舵を切るべきだろう。

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