ウェブサービスやスマートフォン・アプリが日々進化している中で、うっかりしていると、新しく生まれつつある「大きな波」の兆しをキャッチしそこねてしまう、と感じることがあります。
先日、上海から日本に一時帰国中の日本人女性から、「今、中国でものすごく流行っていて、きっと日本でもそのうち広まるよ」と、「WeChat」というアプリのことを教えられ、「大きな波」がすぐそこまで来ていることを強く感じました。
「WeChat」とは、中国のソーシャルメディアサービス大手の「テンセント(Tencent)」が2011年1月に始めたテキストメッセージアプリで、中国名の「Weixin(微信)」を、グローバル展開のために英語の「WeChat」に改名したものです。
テキストメッセージアプリとは、日本でも「LINE」が最近とても話題になっていることで、ご存じの方も多いと思います。一対一及びグループ間のメッセージのやり取りを、無料で、手軽に行うことが可能で、スマートフォン利用者の間で爆発的に広まっているサービスです。
LINEはサービス開始から1年半を経て、現在、日本国内で3000万人、全世界では6500万人を超えるユーザーに利用されており、特に若い世代を中心に爆発的にその規模が拡大しています。10月上旬には首相官邸でもLINEの公式アカウントが開設され、政策の情報発信や災害時の緊急連絡にも利用される程です。
2011年末時点のインターネット利用者が5億3800万人、携帯電話・スマートフォン利用者が3億8825万人という中国(中国ネットワークインフォメーションセンター調べ)で、このテキストメッセージアプリの成長ぶりは注目に値します。
参照:「中国のインターネット利用者は5億3800万人。スマートフォン利用者が急増」 INTERNET Watch / 2012年7月20日
2012年3月上旬に1億人を越えた「WeChat」のユーザー数は、そのたった半年後の9月上旬には、2億人を越えたと発表されました。中国国内ですでに5億人以上のユーザーベースを抱えるテンセントのグループ会社であること、また簡単な音声メモをメッセージとして送信するサービスなどが広く受け入れられていることから、今や中国国内のみならず、「Facebookの次に"来る"サービス」として、世界的にも注目を浴びつつあります。
「中国以外の主要マーケットは香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムなどで、アメリカや中東諸国でも成長が加速している」
テンセントのWeChat国際オペレーション部門のディレクターであるJustin Sun氏は、ニュースサイト「TechinAsia」のインタビューでそう述べています。
なお、この2億人を超えるユーザーコミュニティに対し、すでにスターバックス、ナイキ、キャデラックなどのグローバル・ブランド企業は、「WeChat」上の公式アカウントを開設し、情報を発信して消費者とのコミュニケーションを図ろうとしています。