サッカー
二宮寿朗「国立競技場を夢のスタジアムに!」

 RER(高速郊外鉄道)に乗って最寄りの駅を降りると、眼前に巨大なスタジアム「スタッド・ド・フランス」が現れる。駅から真っ直ぐに伸びた歩道を5分ほど行くと、その目的地にたどり着く。12日にスタッド・ド・フランスで行われた日本対フランス戦。日本代表は2001年に0-5で大敗した“サンドニの悲劇”以来、実に11年半ぶりにこのスタジアムを訪れた。

スタッド・ド・フランスに学べ

 所在地であるサンドニはパリ郊外とはいえ、地下鉄の最寄り駅もあってスタジアムへのアクセスは良い。収容人数は8万人。1998年に行なわれたフランスW杯のメーン会場であり、以降も欧州チャンピオンズリーグで2度、ファイナルの舞台にもなっている。

 観客席は屋根に覆われ、傾斜をつけてどの角度からも試合が見やすいように工夫されている。客席の一部は可動式で、サッカーやラグビーの試合が行われる時はピッチまでの距離を縮める。、そのため、ゲームの臨場感が伝わってくる。「アクセス」「見やすさ」「臨場感」のどれを取っても評価が高く、フランス最大にして、最高のスタジアムであることは言うまでもない。

 このスタッド・ド・フランスには今後、日本から熱い視線を向けられる可能性がある。というのも2020年夏季五輪の開催地に立候補している東京都が、国立競技場(正式には国立霞ヶ丘陸上競技場)をメーン会場とし、収容人数を現在の5万4224人から8万人に改築する構想を既に発表しているからだ。

 7月には「第2回国立競技場将来構想有識者会議」によって客席の一部を可動式にすること、全天候型にするなど、具体案もあがってきた。スタジアムのデザインは国際コンペにかけ、19年に開催されるラグビーW杯に間に合わせたいとしている。文部科学省は来年度の概算要求に、改修の基本設計費として13億円を計上したというのがこれまでの流れである。総予算は1300億円程度を見込んでいるという一大プロジェクトだ。

 日本の経済状況を考えればプロジェクトに賛否両論はあるだろう。だが、54年前に建設された国立競技場の老朽化は以前から指摘されており、五輪招致、ラグビーW杯開催が改修するにはいいタイミングであることも理解できる。

 そして、改修、改築にあたって参考になるのがスタット・ド・フランスなのだ。同スタジアムはサッカー専用ではなく、03年には世界陸上、07年にはラグビーW杯の会場となっている。様々なスポーツイベントに対応できるスタジアムであり、まさに国立競技場もそこを目指していると言える。サッカーやラグビーの試合では客席を可動式にして対応するなど、スタッド・ド・フランスから学ぶ点は多い。安全性、機能性はもちろんだが、客席の傾斜を含め「見やすさ」「臨場感」を大切にするスタジアムを目指すべきだと思う。