アマゾンは5年後も、クラウド業界のトップにいるか?

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 米国では秋の国際会議・展示会ラッシュが続いている。今年もIT業界ではクラウドがホットなテーマだ。一般的な見方としては、アマゾン(Amazon Web Services)とセールスフォース(Salesforce.com)が優位に立っているという分析が多い。たとえば、業界誌として有名なギガオーエム誌(GigaOM)にJames Urquhart氏(VP、enStratus)が投稿している記事などは、その典型的な見解だろう。

Why Amazon and Salesforce are pulling away from the cloud pack(なぜ、アマゾンとセールスフォースはクラウド業界でリードしているのか)」 Sep 29, 2012

 ただ、いくつかの会議や展示会を取材した後 ─ アマゾンが5年後も成長を続けていられるか ─ と自問すると、どうもそうは言い切れない状況になってきた。

2社がリードする米クラウド市場

 まず、Urquhart氏の見解をまとめておこう。クラウド・モデルは大雑把に言って、アプリケーション(SaaS)、プラットフォーム(PaaS)、データセンターインフラ(IaaS)、ハードウェア(HaaS)、ネットワーク(CaaS)などに分かれる。[※]

 現在、企業向けも消費者向けもアプリケーションはクラウド上で動くタイプ(SaaS)が増えている。特に、モバイル系アプリがSaaS市場を引っ張っており、将来、全アプリケーション市場において、消費者向けアプリの売り上げが法人系を圧倒するだろうとの見解が広がっている。

 この企業向けアプリ市場で成長を続けるのがセールスフォースのサービスだ。同社は顧客管理や営業管理などのクラウド・サービスを中堅中小企業に売っている。また、他社のクラウド・アプリケーションが動かせるプラットフォーム(PaaS)を準備して、他社との統合も簡単だ。

[※]  各用語の略称は以下の通り:SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、HaaS(Hardware as a Service)、CaaS(Communications as a Service)

 従来、中堅中小企業では、マイクロソフトのパッケージソフトをサーバーにインストールしてITシステムを構築していた。この市場をセールスフォースは浸食している。同社のサービスはブローバンドとパソコンがあれば、面倒な初期設定・保守・更新などの煩わしさから解放される。マイクロソフトやオラクルなどが、セールスフォースを追っているが、本格的な競争にはなっていない。

 一方、米国の中堅から大手企業は、自社システムをデータセンターで構築する。最近のデータセンターは、様々なハードウェア機能をソフトウェア上で実現する「仮想化技術」を利用して、コストダウンをはかる。この仮想化データセンター基盤(IaaS)を誰でも利用できるようにしたのが、アマゾンのパブリック・クラウド・サービスだ。

 アマゾンはいち早くパブリック市場に参入したため、対応するアプリケーションや開発ツールも多く、同社が次々と新サービスを投入しているため、急成長を続けている。マイクロソフト、オラクル、IBMなどがアマゾンを追っているが、本格的な競争にはなっていない。

 Urquhart氏は、こうした状況を指摘し、2社がクラウド業界を今後もリードして行くと指摘している。

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