2012.10.12(Fri)

サービスは
人間関係と同じ。
相手に見えないところで
いかに相手を思うか。
その気持ちが、
良い縁を呼ぶのです。

帝国ホテル 小林哲也

週刊現代
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今回は帝国ホテル社長・小林哲也氏(67歳)に話を聞いた。1890年に開業し、以来、国内外の要人を迎え、第二次大戦後はGHQ高官の宿舎となり、東日本大震災時には約2000名もの帰宅困難者を受け入れるなど、日本の歴史とともにあった同社。その社長の椅子からは、どのような風景が見えるのか。

サービスは 人間関係と同じ。 相手に見えないところで いかに相手を思うか。 その気持ちが、 良い縁を呼ぶのです。 こばやし・てつや/'45年、新潟県出身。'69年に慶應義塾大学法学部卒業後、帝国ホテルに入社。4年目にセールス部に配属され、JALの顧客向けサービスとして、ホテル内に専用ラウンジを設置するなどの新企画を実施。'89年にセールス部長に就任。営業企画室長などを経て、'04年より現職

再会

 涙もろいです。水戸黄門を見ても泣いてしまいます。'08年にスペインのカルロス国王ご夫妻が来日された時、帝国ホテルをお選びいただきました。この時〝もしや?〟と思い、弊社の昔の資料をあたってみたら、46年も前に、皇太子と皇太子妃としてご宿泊されていたのです。そこで、お迎えの時「Welcome back Your Majesties(両陛下、お帰りなさいませ)」とお伝えしたら「Yes, yes!〈46年前に泊まりました〉」と王妃が仰って下さったんです。うれしくて涙が出そうでした。

好きな言葉

 以前出席した披露宴で、来賓より「お二人は出会った縁に気づき、ご縁の極致ともいえる結婚まで育んでこられた」という挨拶がありました。そして「小人は縁があっても縁に気づかず、中人は縁があっても縁を活かせず、大人は袖振り合う縁も縁とする」という言葉を聞いて、ああ、まさにそうだなと思い、私も従業員に伝えています。

必然

 お世話になった方や、長いお付き合いをいただいているお客様に、よくお礼状をお送りします。どのような良縁も、偶然訪れるようで、実はそうではないと考えています。自分自身から発信して行動し、偶然を必然に変える力を「セレンディピティ」といいます。これも、大切にしている言葉です。

対決!

若き日 '69年に同社へ入社し、上高地帝国ホテルに配属されたばかりの小林社長(写真右)。ここで、ホテルマンの基礎を徹底的にたたき込まれた

 少年時代から野球を続けています。一番の思い出は、'63年、都大会の3回戦で私がいる都立千歳高校が、田淵幸一さんがキャッチャーを務める法政一高と戦ったことです。当時、東京では私立校が強かった。一番バッターの私が打席に入った時、田淵さんが気合の入った声で「都立! 打ってみろ!」と言ったのが今も耳に残っています。試合は7回まで我々がリードしていたのですが、8回で同点になり、延長11回、逆転負けを喫しました。惜しかったですね。見ていた新聞記者も、都立の私たちに心情を重ねてくれたのか、翌日の新聞は〝法政一高が勝った〟でなく、〝千歳健闘 延長で法政一に敗る〟という見出しだったことも覚えています。

直感

 就職する時、パッと「ホテルがいいな」と思ったのは、何より「人」が大好きで、自分の性格がこの職場でこそ活きるかもしれないと思ったからです。

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