被災地の復興工事に導入されたCM方式。「丸投げ」「談合」を合法化・システム化する新しい公共事業のかたちとは
宮城県石巻市のがれき処理施設〔PHOTO〕gettyimages

 東北の地元紙『河北新報』(10月5日付)に、公正取引委員会東北事務所長に就任した塚田益徳氏の震災復興工事に向けた"意気込み"が掲載されていた。

 「事務所は18人の小所帯だが、入札などを十分に監視していきたい。行政の財政事情が厳しい中、無駄遣いは許されない。入札談合、建設資材のカルテル、下請けいじめなどに対し、きちんと目を光らせる」

 復興特別会計は本年度8兆5,000億円。被災地に膨大な量の公共事業が集中、公取委に対する期待は高い。だが、現実的に進行しているのは、公正な競争が担保されたうえでの入札ではなく、「非常時」を理由にした「官製談合」の横行である。

 宮城県発注のガレキ処理が好例だが、県は昨年8月から今年4月までの間に、8工区に分けて、約4,000億円分を発注した。受注したのは鹿島、大成建設、大林組など大手ゼネコンをメインにした8JV(共同事業体)だが、価格競争はない。

 企画提案型の入札で、60点満額の価格点と40点満額の技術点に分けるが、参加JVすべてが、いずれも参考業務価格の8割程度の価格を提案、60点を確保したうえで「地元貢献度」を主軸とした技術点で競った。県がゼネコン業界に諮ったうえでの「官製談合」といって差し支えない。

 ただ、ガレキ処理に港湾・道路などのインフラ整備、地盤沈下などの土地改良に町機能の高台移転と、行政の仕事はヤマのようにあり、人手は圧倒的に足りない。業者に丸投げするしかない、という現実の前で、談合=調整は見逃されてきた。

「丸投げ」をシステム化するメリット

 しかし、いつまでも非常時ではない。財政事情が厳しいのは誰だって知っているし、東北復興が国民の税金で賄われていることを考えれば、グレーゾーンの放置はできない。

 そこで、今年7月から導入が始まったのがCM(コンストラクション・マネジメント)方式の採用である。欧米では一般的なCM方式とは何か。

 これまで市町村、県などの行政が、公共工事を調査、設計、工事施工などに分けて入札にかけていたものを、CMR(コンストラクションマネージャー)という建設管理者に丸投げ、そこが調査、設計、土木、建築などの各業者に発注する。

 CMRに想定しているのは、UR都市機構などの半官半民組織、コンサルタント会社、ゼネコンなどだが、圧倒的スタッフを抱えるゼネコンが中心となる。

 導入を決めた国交省、復興庁などは、そのメリットをこう強調する。

①調査・設計と工事施工を一括でひとつの発注にすることによるスピードアップ
②計画・調査段階もCMRが役所を支援することによる役所のマンパワー不足の解消
③各事業の工事総括をCMRが行うことによる複数地区、複数工事の一括発注

 ひとことで言えば、地方公共団体の負担を軽減するのが目的。現在、行われている「丸投げ」をシステム化したものといえよう。

 当然、ゼネコン、コンサルタント間での話し合いの余地は生まれる。といって、役所が発注するわけではないので、かつてのように「談合のドン」が大阪、名古屋、広島、仙台のような拠点都市に置かれ、最低落札価格を聞き出したうえで、落札率が限りなく99%に近くなるという世界の復活はあるまい。

 特殊事情による地元業者優先は限られ、一括発注が多くなり、しかもブロックというより工事を面で捉えるので金額も大きくなる。総合力で優位に立つゼネコンが、互いの「貸し借り」と中堅以下も生かそうとする業界の「秩序維持」を心がけ、"配分"することになろう。

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