中国市場における9月の新車販売台数が前年同月比でほぼ半減! ~民主党政権の外交下手が招いた日本経済の危機
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 「尖閣問題」が日本の自動車メーカーの経営に暗い影を落とし始めている。中国での販売の落ち込みが如実に表れ始めているのだ。エコカー補助金打ち切りによる反動で国内販売の減少も予想される中、世界最大の自動車市場での販売減は経営の屋台骨を揺るがし、日本の景気にも大きな影響を与えかねない。

 10月9日、トヨタ自動車と日産自動車とホンダの大手3社が今年9月の中国での新車販売台数を開示した。トヨタが前年同月比48.9%減の44100台、日産が35.3%減の76100台、ホンダが41.5%減の33900台と前年同月を大きく割った。ほぼ半減と言える状況だ。

 8月はトヨタが15.1%減、日産が0.6%増、ホンダが14%増。トヨタは販売を落としたが、日産とホンダはまだ伸ばしていただけに、ここに来て一気に影響が表れ始めたと言える。中国の工場では9月下旬から10月初旬の「国慶節」の休業をトヨタが4日前倒し、日産も2日前倒しで休日を増やして減産体制を敷いた。各社は10月8日から再稼働しているものの、昼夜2交代を1交代にするなど弾力的な運営で減産を続けている。

富裕層は毎年25%の割合で増加する

 こうした情勢について、「中国自動車調査月報」(フォーイン発行)の周錦程編集長は「この状況が1年近く続くという見方も出ています。市場は伸びているのに、日本車の販売は落ち込むことになります。その間に他国の競合メーカーがシェアを奪おうと虎視眈々と狙っています」と解説する。現に韓国の現代自動車は、9月の中国での新車販売が前年同月比15%増の8万4000台に伸びている。ドイツ勢もさらに強さを増すであろう。

 2012年の中国での販売計画は、トヨタが前年比13.2%増の100万台、日産が8.2%増の135万台、ホンダが21.4%増の75万台をそれぞれ見込んでいたが、今の情勢が続けば下方修正は必至だ。また、トヨタの場合、高級車「レクサス」を中国向けに輸出していたが、生産拠点であるトヨタ九州(福岡県宮若市)では減産体制に入った。中国に部品や材料、工作機械などを輸出している企業にも今後大きな影響が出て、国内の雇用問題にも発展しかねない。

 特に利益率の高い高級車市場での苦戦にさらに拍車がかかると見られる。この間隙を突いてドイツのアウディ、BMW、ベンツが中国市場を「草刈り場」にすることで、世界最大の市場で日本車の存在感が低下することは確実だろう。実はこれが日本メーカーにとって最も痛い。戦略が狂ってくる。

 「尖閣問題」以前から成長率の鈍化など中国の景気減速が指摘されていたが、販売現場は高級車が飛ぶように売れるバブルが続いていた。貧富の差が激しいこの国では「平均値」ばかりを見ていると、市場動向を見誤る。筆者は年に何回か中国の自動車産業に取材に出かけるが、その高級車の販売状況を実際に見てきた。

 あるシンクタンクの統計ではブランド品などを購入できる富裕層(月収2万元~5万元=26万円~64万円)が2010年には総人口の16%に当たる約2億人だったが、これが毎年25%の割合で増加していくことも予測されている。

 中国は時には経済力2位の強国として、時にはまだ後進国として、局面に応じて自分の都合のいいように振る舞い、大国としての自覚がないことは否定できない厄介な国ではあるが、市場としてはとても美味しい国なのである。日本市場はどう考えても伸びないのだから、上手に付き合って中国から富を持ち帰ればいいのではないだろうか。

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