「構造改革」 か、それとも 「バラマキ」か?選挙をひかえて路線対立で揺れる安倍総裁が求められる「首相時代の総括」
〔PHOTO〕gettyimages

 自民党は10月9日に開いた総務会で、安倍晋三総裁を本部長とする「日本経済再生本部」を設置することを了承した。同本部は安倍氏が総裁選の公約として掲げていたもので、政権奪還をにらんで、デフレ脱却や強力な成長戦略を推進するための方策を議論する。総選挙を闘う経済分野のマニフェスト(政権公約)の柱を決めていくことになるが、すんなり決まるか微妙な情勢になっている。

 というのも、自民党内には経済政策を巡って深刻な路線対立が燻っているからだ。

 2006年~2007年の安倍内閣当時は小泉純一郎首相の路線を引き継ぎ、「構造改革」「小さな政府」を標榜した。安倍総裁の誕生を受けて、当時内閣官房長官だった塩崎恭久議員らは、安倍政権当時の経済政策に回帰する姿勢を示している(塩崎議員のコラム参照)。

経済政策を冒頭にもってくるよう主張した塩崎元官房長官

 確かに、総裁選での安倍氏の公約を記したパンフレットには「一日も早いデフレ脱却と成長力の底上げで、所得向上、雇用の創出に全力」と一番最初に書かれ、最重要公約が「経済再起」であることを掲げている。

 しかし、取材してみると、当初はこの順番ではなかったようなのだ。「日本の誇り 憲法改正・教育再生に全力」「自主の志・強固な国づくりに全力」という安倍氏が好む保守的な項目が最初は冒頭に並んでいたらしい。

 総裁選に向けて安倍陣営がいわゆる「右バネ」を使おうとしたことの表れだったが、塩崎氏らの反対を安倍氏が容れて経済を冒頭にもってきたのだという。

 だが、旧安倍内閣の経済政策への回帰には自民党内に抵抗が多いのも事実だ。谷垣禎一総裁の時に自民党執行部が作った経済政策は「古い自民党」への回帰を多分に連想させるものだった。

 その典型が「国土強靭化」というキャッチフレーズで、自民党関係者の間からも公共事業によるバラマキ政治に回帰するつもりなのか、という疑問の声が上がっていた。かつての安倍政権の「小さな政府」路線とは180度違う経済政策と言っていい。

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