テレビのヨミカタ
2012年10月10日(水) 高堀 冬彦

視聴者の記憶にとどまる名アナウンサーの資質は、人間性に尽きる! NHKの若きエース、松本和也氏の休養入りに思うこと

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 『のど自慢』の司会を担当していたNHKの松本和也アナウンサー(45)が体調不良を理由に突然降板、休養入りしたのは昨年7月。『のど自慢』の司会は、古くは宮田輝、高橋圭三の両氏が務め、近年は宮本隆治氏らが担当。NHKアナウンサーにとっては最大級の栄誉で、松本氏は若きエースだった。

 降板当時、NHKは「心身の疲労が溜まった」と説明した。その通りなのだろう。1991年に入局。奈良、福井の地方勤務を経て、99年に東京アナウンス室に配属されると、徐々に人気を得て、次々と大きな番組を用意されていった。『昼どき日本列島』『英語でしゃべらナイト』『環境特別番組/SAVE THE FUTURE』『難問解決!ご近所の底力』『ビートルズナイト』---書き切れないほどである。休養入り直後には、新たに司会を務めるはずだった番組の制作発表が控えていた。

 2007年と翌2008には紅白歌合戦の司会も務めた。初登板時は40歳。本人は「晴天の霹靂です」とコメントしていたが、たぶん本音だろう。アナウンサーの世界も一般サラリーマンと同じで、自らが望んでエースの座に就くとは限らない。その座に押し上げられたら、自分から降りることは出来ない。倒れない限り。

アナウンサーの決め手は、人間性

 NHKの広報局によると、松本氏は現在、東京・砧にある放送研修センターで勤務を再開し、後進の指導にあたっているという。ほかのアナウンサーと交代で、『ダーウィンが来た!』のナレーションを務めることもある。再び画面に登場するのかどうかは現時点では定かではないが、NHKは本人の体調を十分に考えた起用をしていくことになるだろう。なにしろNHKの2000年代序盤を支えた1人なのだから。

 「マジメ」「努力家」「控えめ」。松本氏の風評だ。筆者は4年前、ロングインタビューを申し込んだことがあるが、丁重に辞退された。過去、同じインタビューに大先輩の松平定知氏が登場していたことから、「私のような者には荷が重いです」というのが理由だった。

 では、そんな奥ゆかしい松本氏が、なぜエースになったのか? 失礼ながら、アナウンス技術が際立っているとは思えない。温かみがあり、耳に心地の良い声だが、美声とは言い難い。結局、人柄だろう。出世作となった『英語でしゃべらナイト』では彼のひたむきさが光っていた。灘高から京大へと進んだ学歴エリートながら、英語は不得手で、それでも懸命に英語を学ぶ面白さを視聴者に伝えようとしていた。

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