中国
日中相互の不信感から来る「誤解の連鎖」は野田政権の「鈍感外交」の賜物
〔PHOTO〕gettyimages

 10月7日まで、中秋節と国慶節(建国記念日)の8連休だった。その間、尖閣諸島を巡る「神経戦」が休まることはなく、日本ですっかり有名になった中国海洋局の監視船「海監」が、何度も領海に現れた。10月4日には、宮古島の近海110㎞に、人民解放軍が駆逐艦やフリゲート艦など7隻を繰り出した。

 そんな中、中国のある人物がこっそりと、日本情勢の分析のため東京へやって来た。中国は、観光客や文化訪問団の訪日は取り消しても、この手のプロは、きっちり「現地調査」にやって来る。彼が一面識もない私に声をかけてきたのは、私がここ1年半ほど、中国メディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)に、定期的に日本の立場を説明してきたからだとのことだ。

 この人物と都内某所で2時間ほど、日中関係について議論を交わすうちに、尖閣問題の「輪郭」が浮かび上がってきた。

 それは一言で言えば、日中相互の不信感から来る「誤解の連鎖」である。

共産党的な常識に疎い野田政権

 この人物によると、中国は尖閣諸島を「占領」したいのではなく、「棚上げ」したいだけだという。だから4月に石原慎太郎都知事が物騒な「尖閣購入」をブチ上げなければ、中国が騒ぐことはなかった。

 中国は、この時の石原発言を、「第一の宣戦布告」と受けとめた。私は石原都知事の発言は「一地方首長の願望」に過ぎず、まったく国家を代表するものではなかったと反駁した。ところがこの人物によると、「中南海」の人々は、首都の首長の発言=首相の意向=日本国全体の意思、という極めて共産党的な常識で判断してしまうのだという。

 次に、7月7日の「七七事変」(1937年7月7日の日中戦争開戦の盧溝橋事件の勃発日)の日を選んで野田首相が国有化に言及したことを、中国側は「第二の宣戦布告」と受け取った。

 これも私は野田首相の側近に確かめているから、「単なる偶然に過ぎない」と反駁した。だが中国を刺激する発言をするのに、わざわざ中国が最も敏感な日を選んでしまったというのは、やはり野田政権の「鈍感外交」の罪だろう。

 さらに、この人物の言によれば、9月9日にウラジオストクAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、胡錦濤主席が野田首相と立ち話して、尖閣国有化に「待った」をかけた翌々日に国有化宣言をしたことを、「第三の宣戦布告」と受け取ったという。

 このことも前述の野田首相側近に確認したら、政府は4月の石原発言の後から、いろんなシグナルを通じて、尖閣国有化のメッセージを中国側に伝えていたという。だがこの人物によれば、それは中南海にはっきりと伝わっていなかった。

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