世界経済が抱える"財政の壁"というリスク
QE3を発表したバーナンキFRB議長〔PHOTO〕gettyimages

 最近、為替ディーラー連中と話をしていると、彼らが米国の"財政の崖"のリスクを意識し始めていることに気が付く。その背景には、ユーロ圏の信用不安問題が小康状態を保っているため、彼らの関心が米国経済に移っていることがある。

 "財政の崖"とは、来年初から増税や税制支出の削減などの措置が取られる可能性を意味する。具体的には、ブッシュ減税の期限が今年年末に到来するため、減税の延長措置を取らないと、来年初から事実上の増税が実施されることになる。

 また、米国の財政赤字の上限は法律で決められているため、法律の改正などの措置を取らない限り、来年初から、自動的に財政支出がカットされることになる。増税と財政支出のカットは、いずれも経済にとって大きなマイナス要因だ。

世界経済は米国次第

 リーマンショック以降、世界経済のけん引役を果たしてきた中国の景気減速が鮮明化している。それに対して中国政府は金融緩和措置を講じたが、今までのところ、その効果は顕在化していない。株価は下げ止まらず、電力使用量などの統計を見ても、中国の経済活動は低下傾向から抜け出せない。

 中国経済の減速が鮮明化する中、現在の世界経済のけん引役を任せられるのは米国しか見当たらない。その米国も、景気回復の足取りがいま一つはっきりしない。労働市場の回復が遅れているからだ。FRBは、9月に入ってQE3(量的緩和策第3弾)を打って景気刺激策を展開しているものの、その効果が出てくるまでには時間が掛かる。

 米国経済には、もう一つ懸念要因がある。それが"財政の崖"だ。仮に、"財政の崖"が現実味を帯びてくると、米国経済に下押し圧力がかかることは避けられない。米国経済の回復がさらに遅れるようなことになると、世界経済はまたさらに足を引っ張られることになる。その場合、為替などの金融市場にも大きな影響が及ぶ。

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