中堅・大企業の改革と新事業立ち上げへのヒント
日本企業の組織的課題を打破

創業100周年を迎えるシャープが開発したシースルー太陽電池の説明を聞く人々〔PHOTO〕gettyimages

いよいよ後がない日本の製造業、大企業

 日本がかなり危ない。

 私が2000年、10年間にわたった韓国LGグループの経営改革プロジェクトにけりをつけて日本に戻ってきたのも、日本企業、特に製造業を中心とした大企業への危機感が非常に強くなったからだ。それから12年、悪いことに予感は当たり、日本の危機がいよいよ迫っているというのが私の正直な気持ちだ。

 シャープの倒産は当面まぬがれたが、経営はガタガタだ。今後どこまで落ちていくのか、ニュースを追うのも痛々しい。

 パナソニックやソニー(TV事業8期連続の営業赤字、本体の最終損益も4期連続赤字)も、はたしてターンアラウンドできるのか? ソニーの内部事情に通じた方の話だと、シャープほどではないものの、五十歩百歩だという。

 インターネット・デジタル時代の新たな収益の柱を確立してもらえれば非常に嬉しいが、外部からその予兆はまだ感じ取れない。オリンパスへの出資、医療機器事業への参入にはもちろん期待したい。

 一方、韓国LGグループは波があるものの、全体としては急成長を続け、携帯電話、TV、白物家電、LCD、リチウムイオン電池などでは世界的なブランドに成長した。創業初期には、日立製作所から多大な技術支援を受け、たった20年前には、到底こちらに足を向けていられないほど日本を頼っており、目標としていた。それが今では、上記の分野で日本企業を凌駕してしまった。

 サムスンは言うまでもない。ご存じの通り、驀進中だ。

 「いつまでも製造業ではないだろう」という反論も聞こえて来そうだ。「楽天、グリー、DeNA、サイバーエージェントなどは皆元気ではないか、雇用も大きく拡大しているではないか」というものだ。ソフトバンク、KDDI、ドコモなどももちろん同様だ。確かにそういう面もある。

 ただ、日本人の誇りであるトヨタ、日産、ホンダなどの自動車産業、パナソニック、ソニー、シャープ、キヤノン、リコー、ブラザー、カシオ、オリンパスなどの家電・電子機器産業、日立製作所、三菱電機、東芝などの重電・電機産業、富士通、NEC、沖電気などのシステム・機器産業、新日鉄などの製鉄産業が元気でないと、日本国内の雇用確保がむずかしくなり、経済の活気も失われる。国の将来が見えてこないのだ。

 しかし、こういった大企業、つまり、かつて栄光に輝いていた企業の内部の方々と話すにつけ、それらの組織の自己改善力の乏しさ、経営力のなさ、組織効率の悪さに呆然とする。

 今、世界的に有名で、巨大な利益を上げて成長している会社は、言うまでもなくアップル、グーグル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、インテル、オラクル、シスコ、クアルコムなどに加え、GE、IBM、ボーイングなどの米国発グローバル企業だ。特に、世界中でインターネットやITの企業は爆発的に成長し、価値創造を続けているが、この分野で日本企業の名前を聞くことはまずない。

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