Digital Experience! TOP>現代ビジネス>坂井直樹「デザインのたくらみ」
坂井直樹「デザインのたくらみ」
2012年10月09日(火) 坂井 直樹

音楽の役割は「商品」からファンとアーティストをつなぐ「ハブ」へと移行した

 やや古い話になるが、今年4月23日付けのオリコンシングルデイリーランキングが話題になったことを皆さんはご存知だろうか。デイリー2位から の売上が1000枚を割り、さらに3位は693枚と従来のオリコン史上ワースト記録を更新したのだ(ちなみに3位にランクインしたのは人気ロック バンド「B'z」のシングル曲「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」で、3週間前の発売時には前作に引き続き、初登場1位を獲得している)。

 もちろんオリコンのデイリーランキングは曜日や発売 時期によって売り上げが変化するのは事実である。しかし、「音楽CDが売れない」とされる昨今の風潮と相まって、このニュースは小さくない反響を 呼んだ。

 一般にCD売り上げの黄金時代と称されるのは1990年~2000年前半までの期間である。特に1998年には売り上げ5,879億円と過去最 高を記録し、CD市場はまさに「わが世の春」を謳歌していた。しかし1999年のi-mode、2001年のiTunes / iPodの登場によって、大量の楽曲をデジタル音楽プレーヤーに入れて持ち歩く生活が当たり前になった。

 「楽曲はCDからエンコードするものではなく、ダウンロードするもの」という認識が加わったのがこの時代だ。そして動画投稿サイトが普及した2000年代後半には、iTunesを利用せずとも、YouTubeでPV付きの楽曲が聴ける時代となった。若者が音楽を聴くためにわざわざ高いお金を払ってCDを買う時代は終わりを迎えたのだ。

 このようにCDの売り上げが減少した最大の原因はインターネットにあるが、インターネットがもたらしたデジタル情報革命の本質は、音楽も含めた情報に対して存在した「時間と空間と所属の壁」を破壊したことにある。つまり「いつでも・どこでも・誰でも」情報が手に入るようになったということだ。

1
nextpage
  • PR
  • PR
新着記事
MORE
BackNumber
MORE
ArticleRanking