二宮寿朗「育成で深まるJクラブと地域の絆」

 イランで開催されているAFCU-16選手権で日本はシリアを破ってベスト4に進出し、来年UAEで行なわれるFIFAU-17W杯への出場権を得た。グループリーグでは韓国に1-3と敗れたものの、ショックを引きずらなかったようだ。昨年、18年ぶりに8強に進出したU-17W杯にはこれで4大会連続の出場となる。また11月にはAFCU-19選手権が開催され、日本は来年トルコで行なわれるFIFAU-20W杯出場を目指すことになる。2大会連続で出場権を逃がしているだけに、今回は是が非でもトルコ行きの切符を勝ち取らなければならない。

「地域との連係」で成功した柏

 2つの代表のメンバー構成を見ると、あることに気付かされる。U-16代表の大多数はJクラブのユース選手で占められており、U-19代表もJクラブのトップチームかユースに所属する者がほとんどだ。久保裕也(京都)、熊谷アンドリュー(横浜FM)らはトップチームでも活躍しているが、ひと昔前に比べても世代別代表でJクラブに所属する選手が目立つようになっている。

 近年において「育成」がJクラブで重要視されてきたが、その成果が徐々に表れてきたという印象を受ける。能力の高い子供たちをスカウティングできる環境整備が広がりを見せていることがその理由のひとつだと言える。

 昨年J1を制した柏レイソルは、育成の力で底上げを図ることに成功したクラブだと言えよう。優勝を決めた浦和レッズ戦では先発メンバーのうち5人がアカデミー出身者だった。柏の育成システムで注目すべき点は「地域との連係」だ。柏市には小中学生を対象にするクラブチームが多数あり、レイソルアカデミーはそれらと提携関係を結んだ。交流を促進し、情報交換を密とすることはタレントの発掘に一役買った。より多くの子供たちの情報を集めるシステムの構築がチームの強化につながったと言えよう。

 クラブの育成において地域密着がカギを握ることは、日本サッカー協会の理事を務めていた風間八宏氏(現川崎フロンターレ監督)が以前からよく言っていた。
「セビージャなんかは地域の小学生をすべて網羅していてジュニアユースのセレクションでは何度もテストを繰り返してふるいにかける。つまり、ヨーロッパのクラブは圧倒的な数の子供たちを対象にしている。だから日本もクラブだ、学校だと分けずに“地域”として捉えたほうがいい。クラブを強くすることを考えるよりも、学校や地域と一緒に強くなるという発想に切り替えたほうがいい」

 学校との接点はまだまだだが、地元クラブとの連係はいいきっかけになるように思う。