海老原嗣生さんと語る「30歳の転職相談」
【第2回】「スキルアップすれば転職確率が上がる」というのは幻想だ

〔左から〕海老原嗣生さん、飯田泰之さん、常見陽平さん

第1回はこちらをご覧ください。

なぜ年収300万円の税理士が多いのか

常見 自己啓発や英語も含めて、『日経ビジネスアソシエ』的な自分磨きや昔の勝間本的な自分磨きに、なぜみんなハマるんですかね。僕、エビさんの『課長になったらクビにはならない』(朝日新聞出版)っていう本が大好きで、特に資格試験志向の風潮を批判されていたくだりが印象に残っているんですけど。

海老原 結局、「雇用」とか「働く」というのは、目に見えないものでしょう。見えづらい。で、見えづらいものを語ろうとすると、「欧米型モデル」だの、資格だの、TOEICの点数だの、何か見えやすいものを使いたくなるんです。

 僕はずっと人材ビジネスをやっていて、いろんな企業を見てきたし、いろんな転職をする人の話も聞いてきたけれど、普通の人は自分の人生しか知らない。そうなると、自分の人生以外のことを知るには、目に見えるものを頼るしかないんです。だから、資格とか英語とかに行っちゃうの。

飯田 なるほど。確かにストレートな営業職などを除いて、現代の仕事では、自分が何をしているのか、自分の仕事のどの部分が利益を生んでいるのかが、非常に見えにくくなっていますね。その中で、資格やTOEICの点数は、わかりやすいし見えやすい。しかも、持っていると何となくうれしいし、それ自体が目標としても使いやすい。

海老原 さらに、その難易度が上がって難しいとなると、持っている本人はいっそう自信を持つんですよ。

 だけど、はっきり言っとくよ。たとえば税理士の資格を持っていて、転職エージェントに相談に来る人で、年収300万円くらいというケースは非常に多いんです。すごく多い。

 なぜかというと、今は税理士も相当余っているから。本人は、非常に難しい試験を通っているんですけどね。