関電と九電が露払いを務める電力業界の値上げコンセンサスが浮上。地域独占企業のあるべき姿を今一度、考え直してほしい!
大飯原発に繋がる送電線〔PHOTO〕gettyimages

 経済産業省・資源エネルギー庁と電力各社が進める電気の値上げ戦略の全容が浮かび上がってきた。

 原子力発電への依存度が高い関西電力と九州電力が、化石燃料の購入コストが大きく膨らんでいるという論理を前面に押し出し、他の電力会社に先駆けて値上げラッシュの露払いを行うというものだ。

 電気料金の値上げによって、原発の相対的な低コストイメージを浮き彫りにして、政府が公約した原発依存度の引き下げに揺さぶりをかけたいという本音が透けて見えるような戦略だ。

 値げそのものは避けられないと思うが、大飯原発の再稼働を強行して原発がなくても電力が足りることを露呈した関西電力と、その前に玄海原発の再稼働を進めようとしてやらせ問題を引き起こした九州電力が先頭を切って値上げに踏み切るというのは、今なお地域独占という特権の享受と引き換えに安定供給を義務付けられているはずの電力会社の対応として相応しいとは到底思えない。

 東日本大震災の直撃を受けて、燃料代だけに加えて、設備の復旧コストもかさみ、経営が最も苦しいはずの東北電力が、被災者に負担をかけたくないとの配慮から「現時点では、自助努力で頑張ってまいりたい」(海輪誠社長)と堪えている姿勢をもう少し見習ってほしいものである。

関電が平均10数%程度、九電が同10%の値上げ

 福島第一原子力発電所で未曾有の事故を起こした東京電力の家庭や中小事業所向けの料金引き上げ問題が、9月から平均8.46%の値上げによって一応決着したことを受けて、全国各地の電力会社が値上げの追随に強い意欲をみせている。

 例えば、四国電力の千葉昭社長は9月25日の記者会見で、「伊方(原子力)発電所の再稼働が大幅に遅れる中、電力需給ならびに経営の安定化を図っていくことが重要な課題」としたうえで、「当社の収支環境は一段と悪化しており、今後、電力の安定供給を維持していくためにも、あらゆる対策を講じて、経営収支の改善に努めていかなければならない状況にあります」と述べて、値上げを示唆した。

 また、新聞報道によると、北海道電力の川合克彦社長も同27日、札幌市内で開かれた北海道庁、北海道経済産業局、地元経済団体などとの会合で、泊原子力発電所の再稼働がなければ、「2012年10月~13年3月期に火力発電所の燃料費負担が1,000億円増える」と説明し、採るべき手段のひとつとして値上げを匂わせたという。

 こうした中で、先陣を切ったのが、関西電力と九州電力の2社だ。

 読売新聞などが報じたところ、両社はいずれも来年4月からの値上げを目指しており、今秋、正式な値上げ申請に踏み切る準備を進めているという。値上げ率は、関電が平均10数%程度、九電が同10%になる見通しだそうだ。

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