もはや「テレビ派」と「ネット派」を区別する意味はない! ネット戦略で遅れを取った局は、生き残りレースで脱落していくだけだ
フジテレビHPより

 地上波テレビがネットとの付き合い方をやっと真剣に考え始めている。

 フジテレビでは10月から平日午後11時台のレギュラー番組とYouTubeを連動させ、それぞれの番組のスピンオフ(番外編)をYouTubeで流す。仕掛けたのは同社のキーパーソン・大多亮常務取締役。今年5月までデジタルコンテンツ部門を担当し、6月からは地上波の編成と制作を担当している。連携でネットユーザーを地上波に誘うだけでなく、CMも流し、ビジネスにする。

 日本テレビはスマートホン向けのアプリ「wiz tv」を開発し、6月から提供を開始した。アプリの利用者たちが、どのチャンネルのどんな番組で盛り上がっているのか、折れ線グラフによって一目で分かる。利用者は番組についてコメントも出来る。番組で取り上げられた店舗などの詳細情報も分かる。

 こちらの旗振り役も日テレのエース・小杉善信取締役常務執行役員。小杉氏は「スマホはかつての茶の間の役割を果たし始めている」と分析する。もはや茶の間で家族そろってテレビを見る機会は少ない。代わりに、知らない同士がツイッターを通じて、「この評論家の意見はおかしい」などと日常的に番組の感想を交換している。そこに着目し、テレビに特化したアプリを開発したのだ。

ネットに対して無警戒すぎた民放経営者

 2000年代以降、ネットのブロードバンド化は飛躍的に進み、全国約5700万世帯のうち約4000万世帯がその環境を整えた。一方で地上波も2003年からデジタル化が始まったことから、双方が連携する機は熟した。

 が、これまで双方の関係は必ずしも良いとは言えなかった。ネットを憎悪していたテレビマンも珍しくない。長らくテレビマンたちは「ネットの連中は何をするか分からない」と警戒し続けてきた。

 背景にあるのは2つの買収劇。ライブドアがフジテレビの持ち株会社的存在だったニッポン放送を買収しようとした騒動と、楽天がTBS株を大量取得した上で経営統合しようとした問題。ともに2004年から05年に始まった話で、放送とネットの融合を見越した点でネット側にすれば慧眼だったが、現実的には無理があった。

 日本の地上波は強固な人間関係で築き上げられており、資本さえ制すれば丸ごと得られるような組織ではない。ライブドアがニッポン放送を買収しようとした際、脚本家・倉本聰氏やタモリらが経営権変更後の出演拒否を宣言したが、他局の場合も放送設備と電波しか得られない公算が大きい。買収側は社員の大量移籍を覚悟すべきだろう。

 半面、地上波はネットを軽く考えすぎていた。Windows95が発売され、パソコンが猛烈な勢いで家庭に進出し始めた90年代半ば過ぎでさえ、剛腕で鳴る民放経営者は「放送と通信の融合なんて、本当にありますかねぇ」と笑っていた。

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