高橋洋一「ニュースの深層」
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徹底してディテイルにこだわるのが竹中平蔵元大臣と橋下徹大阪市長の共通点。官僚に使われない「政策の作り方」を教えます

2012年10月01日(月) 高橋 洋一
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9月29日、維新の会の公開「会議」に参加した。今回は竹中平蔵元総務大臣が出席した。当日の午前11時過ぎ、竹中さんから電話があった。

「高橋君、今日来るよね。何時からだっけ」

「午後1時で、南港の大阪アカデミアですよ」

「わかった。それじゃそこで」

竹中さんとは、彼が日本開発銀行(現日本政策投資銀行)から大蔵省に出向してきて以来のつきあいだ。当時も今もまったくかわらない。彼のモットーは「戦略は細部に宿る」である。

徹底してディテイルに拘(こだわ)る。そして頭の中にきれいに整理する。彼ほど勉強をした大臣を私は知らない。局長たちより勉強家だから官僚たちは手も足も出ない。それが彼への不評となってマスコミに流れ、いろいろなバッシングを受けていた。それでも、「改革すれば、そんなもんだよ」と一向に気にしなかった。

この点は、橋下徹大阪市長も似ている。彼は竹中さんも舌を巻くほどの勉強家だ。ただ違う点もある。竹中さんは国会で相手議員をやっつけることはあっても、記者には優しかった。後でこっそり「不勉強だね」ということはあっても、面罵することはまずなかった。この点、橋下市長は記者相手でも容赦しないのは、端から見ても面白い。

細部を知らないと戦略は語れない

維新の会の公開「会議」では、経済政策が中心であった。デフレ脱却に賛成という言葉だけでは国会議員としては物足りない。政策は突き詰めれば、ほとんど個別具体的な法律か予算に還元できる。特に、ローメーカーたる議員は、政策を個別の法律に「見える化」すべきだ。

例えば、「TPP賛成」と、維新の会にくる政治家なら言う。しかし、TPP賛成の中身、例えば農協の独禁法適用除外を、独禁法適用へと法改正することについてはどうか。これを言い出せば、農協は猛烈に反対する。筆者は公正取引委員会事務局に出向した経験があるので、農協のような協同組織はその行う共同行為について形式的に独禁法の適用除外しており、それ以外を適用すべきという法改正になることを知っている。

ただし、それを詳しく詰めていくと、独禁法の適用除外になっている部分は農協のためになっていても、かならずしも農民のためではない。かりに独禁法適用になるように法改正しても農民にはまったく痛くないこともある。こうした「細部」を積み上げて、政策の「戦略」ができている。多くの国会議員は、こうした「細部」を知らずに、官僚に法改正をおんぶにだっこなので、「戦略」が語れないのだ。

「細部」に拘り、具体的な改正法律を上げると、既得権が具体的に見えてくる。相手が必死になって抵抗するからだ。これも改革を進めるうえでは避けて通れない。むしろ抵抗させるによって既得権を表に出し、議論するくらいでないとダメだ。
 

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