2012.10.06(Sat)

言われた通りに
やるのが〝作業〟、
よりよい成果を出そうと
考えるのが〝仕事〟。
伸びる人はみんな
作業をせず仕事をしている。

スーパースイーツ 辻口博啓

週刊現代
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今回は〝世界を獲ったパティシエ〟に話を聞いた。東京・自由が丘の『モンサンクレール』を筆頭に、全国で洋菓子店を経営する辻口博啓氏(45歳)。髪を金色に染め、テレビでの陽気な姿をご存じの方も多いだろう。しかし素顔の彼は、高校卒業後、意を決して上京し、コネもない中パティシエ見習いになり、眠る間も惜しんで修業、29歳の時、史上最年少でパティスリーの世界大会を制した苦労人だった。

 

言われた通りに やるのが〝作業〟、 よりよい成果を出そうと 考えるのが〝仕事〟。 伸びる人はみんな 作業をせず仕事をしている。 つじぐち・ひろのぶ/'67年、石川県生まれ。石川県立中島高校卒業後、東京都内の洋菓子店に住み込みで修業。多くのコンクールで優勝し、'98年、東京・自由が丘にパティスリー『モンサンクレール』オープン。今年、石川県にスーパースイーツ製菓専門学校を開校するなど、精力的に後進を育成する

精神力

 見習いになって3年間は、食材の管理やトイレ掃除などに追われ、ケーキのクリームやスポンジはほとんど触らせてさえもらえませんでした。すばらしい経験でしたね。人はキチッとしていなければ伸びません。例えば食材って新鮮な方がおいしいでしょ? とすると、仕入れをこまめにする管理能力や、地味な仕事もコツコツこなせるメンタルの強さがなければ、おいしいスイーツは作れないのです。

成人の日

 懐かしいのは二十歳の成人式です。私は仕事で出席できず、早朝から夜までケーキに載せるプレートに文字を書いていました。延々と『成人おめでとう』と書いていたんです。その時、いつかこれが糧になる。これが私なりの成人式なんだ、と考え続けていました。

臥薪嘗胆

 夜は毎晩、パティシエの世界選手権の優勝作品の写真を穴が空くほどに見つめてから眠りにつきました。次は私が、と自分自身に言い聞かせ、同時に審査員がどんな作品を好むか頭に入れていました。休日の夜は、有名洋菓子店を訪れ、店員さんが捨てるゴミを見ていました。どんな食材を使っているのか、聞いても教えてくれるわけがないから見に行っていたんです。普通、しないことかもしれませんが〝他人と同じでいいや〟と群れている人間が何か突出した結果を残すことはありえない。

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