生活保護「受給者バッシング」の正体---年間支払額3.3兆円、受給者210万人の「世界」を徹底検証 【第2回】安田浩一(ジャーナリスト)

2012年10月11日(木) g2
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 〈本当に生活に困窮して三食食べられない人がどれほどいると思う? ホームレスが糖尿病になる国ですよ。ホームレスの血糖値を測ったら高かった、というのは有名な話でしょ〉

 〈生活保護をもらって毎日、ゲートボールをしてる人はいるんですよ〉

 また、記事には掲載されていないが、彼女は対談の中で「アクセサリーを身につけて生活保護の申請にくる女性もいる」「スマホを持つ受給者もいる。私なんかまだ旧型の携帯電話なのに」と眉をひそめた。

 実にわかりやすい。だが、何ら具体的なデータを示すことなく受給者の「モラル」ばかりを言い立てるのは、単なる感情論に等しい。これらの言葉から、片山議員が思い浮かべる生活保護受給者のイメージが伝わってくる。

 ラクして儲ける日本の恥。まさに、それだ。

 そして―何度でも記す。日本の「気分」は、大筋においてそこに同調している。

「ナマポのくせに」

 こうしたなか、困惑の表情を隠すことができないでいるのは当の受給者である。

 「あなたはナマポでラクできるからいいね、と友人に言われたんです」

 そう話すのは都内在住の40代女性。シングルマザーである。うつ病も抱えて就労困難なため、昨年から生活保護を受給している。

 「それまで就労できない私を励ましてくれていた友人も、一連の騒動以降、嫌味を言ってくるようになったことが辛い。月に一度、子どもと回転ずしに出かけるときも、どこかおどおどしてしまうんです。ナマポのくせに寿司など食べていいのかと言われそうで」

 やはり精神的な疾患を抱え、生活保護を受給している大阪市内のシングルマザーも、周囲の厳しい視線に耐えられないとこぼす。

 「友人と喫茶店に入った際、タバコを吸ったんです。すると友人が『生活保護のくせにタバコなんて吸うんだ』と呆れたように話すんです。ものすごく肩身の狭い思いをしました。私、タバコは1日に5本と決めているのに。もうお酒も飲みに行くことはできないなあと思いました」

 そうした周囲からの無遠慮な批判にさらされているうちに彼女は生きていくことすら嫌になり、市販の睡眠薬を大量に飲み込んで自殺まではかっている。

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