サッカー
11月14日のオマーン戦は2日前集合のぶっつけ本番。ヨーロッパ組のコンディション調整はさらに厳しいものになる
ヨーロッパ組のコンディションに不安を残したUAE戦〔PHOTO〕gettyimages

 これからはちょっと、難しい状況が起こってくるかもしれない---ここ最近の日本代表を見ていて、私はそんな印象を抱いています。

 たとえば、9月6日に行なわれたUAEとのテストマッチです。1対0という試合結果に、多くのメディアは「不安」という二文字を持ち出しました。11日にイラクとのワールドカップ最終予選が控えていますから、内容を伴った勝利を期待していたのでしょう。

 UAE戦の問題点は、以下の二つに集約できると思います。

 ひとつ目は、ヨーロッパ組のコンディションが良くなかったことです。本田圭佑、香川真司、吉田麻也ら8人のヨーロッパ組が先発しましたが、身体のキレはいまひとつでてした。

 理由ははっきりしています。長距離移動による疲労と、時差ボケの影響です。UAE戦の前日に帰国した選手もいましたから、身体が重いのは避けようがありません。

 サラリーマンやOLの皆さんも、お盆休み明けの出勤初日はキツかったのではないでしょうか? 何だか身体がだるかったり、気持ちが重かったり。UAE戦に臨むヨーロッパ組は、まさにそんな状態だったのです。

 それでも、翌日や翌々日になれば、いつもどおりにパリッとした気持ちで出勤できたはずです。オフィスに着いても、すぐに仕事を始められたのでは。 

 帰国から1週間以上が経過したヨーロッパ組も、日本国内での生活のリズムが整い、心身のコンディションをアップさせています。UAE戦より格段にコンディションの良い状態で、イラク戦を迎えることができる。時間が解決してくれる問題ですから、こちらは心配していません。

ゲームに必要な体力や感覚は、ゲームでしか作り上げることができない

 ふたつ目は、所属クラブで試合に出ていないことによるコンディションの低下です。こちらは、より深刻な問題です。

 UAE戦に先発した長谷部誠は、所属するヴォルフスブルクでリーグ戦に出場していません。ゲーム体力や試合勘が懸念されます。

 決勝点をあげたハーフナー・マイクも、クラブでは後半途中からの出場がほとんどです。1試合フルに出場するのは稀です。フィジカルコンディションについては、疑問符をつけざるをえません。

 サッカー選手は1試合に10キロから12、13キロ走りますが、ただ単に走っているだけではありません。言うまでもなく、走りながらボールを扱っています。そのなかで、プレーの精度の高さ、判断の速さ、判断の的確さを求められる。相手選手とのコンタクトプレーもあります。「走る」という行為に複合的な要素が組み込まれているわけで、毎日のトレーニングで10キロ走ったとしても、試合と同じ成果は上げられません。ゲームに必要な体力や感覚は、ゲームでしか作り上げることができないのです。

 長谷部に話を戻せば、疲れのたまっていない時間帯は、いつもどおりの彼が見られるでしょう。しかし、今回のように実戦から離れて久しい状況下では、後半途中あたりから身体がイメージに追いつかない、といったことも起こり得ます。

 現イラク代表監督のジーコさんが日本代表を率いた当時も、代表選手が続々とヨーロッパへ移籍していきました。ところが、所属クラブでゲームに絡めない選手が多く、ジーコさんはコンディションの見極めに悪戦苦闘しました。

 幸いにも現在は、ヨーロッパ組のほとんどがコンスタントにピッチに立っています。一方で、スタメンに定着できていない選手も見受けられます。今回のイラク戦で言えば、宮市亮が実戦経験の不足を理由に招集を見送られました。

 次の最終予選は11月14日に行なわれますが、今回のようにテストマッチを経て試合をすることはできません。2日前に集合し、ぶっつけ本番で臨むことになります。所属クラブで試合に出ていない選手は、イラク戦以上に使いにくいでしょう。

 力関係から判断すれば、日本の最終予選突破はほぼ間違いないと言っていい。そのためにも、ヨーロッパ組は所属クラブでの〈内なる戦い〉を勝ち抜いていかなければなりません。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら