「安全」と「国民負担」を棚上げにした野田首相の責任を問う!「原発ゼロ社会」を国民を欺く選挙向けのマニフェストにした「革新的エネルギー・環境戦略」の茶番
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 「原発ゼロ」を掲げた野田政権のエネルギー政策見直しはとんだ茶番劇だった。

 そもそも政府が9月14日決定の「革新的エネルギー・環境戦略」で打ち出したのは、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」こと。

「永田町・霞が関文学」として素直に読めば、政権が内外に公約したのは「あらゆる政策資源の投入」だけ。「2030年代の原発稼働ゼロ」は、端から実現する気のない修飾語に過ぎない。しかも、野田政権は、内閣法で規定されている政府の意思決定行為である「閣議決定」を見送った。

 ところが、マスコミ、経済界、国際社会がそろって、この修飾語への批判を強めたため、政府は火消しに追い込まれた。

 茶番に関心が集まる裏で、ゴーサインが出たのは、「2030年代」まで原発を稼働し続けること。一方で、再稼働するなら不可欠のはずのシビアアクシデント予防策や損害賠償制度の欠陥是正は先送りされてしまった。原子力規制庁という頼りない安全弁は残っているものの、安全を無視して原発が続々と再稼働するリスクが高まったのだ。事態は、これまで以上に深刻である。

どの章にも相互に矛盾する記述が存在する

 まず、政府が決めた「革新的エネルギー・環境戦略」を見てみよう。

 この戦略は、昨年10月21日の閣議決定で設置された「エネルギー・環境会議」が1年近い時間を費やして決めたものだ。会議では、古川元久国家戦略担当大臣が議長、枝野幸男経済産業大臣と細野豪志環境大臣兼原発事故担当大臣が副議長、それ以外の関係閣僚がメンバーをつとめてきた。政府が国民に問いかけた、2030年の原発依存度に関する「3つの選択肢」の結果も踏まえたものということになっている。

 実物は、同会議のホームページに掲載されているが、A4用紙で表紙を含めて22枚の文書。内容は、「はじめに」で福島第一原子力発電所の事故を受けて、「原子力への依存度」拡大を軸にしてきたエネルギー戦略を白紙に戻す必要が出て来たと宣言。そのうえで、5つの章を設けて、まず第1章で、後述する原子力依存度の引き下げを打ち出した。

 第2章以下は、原子力依存度の引き下げに必要な施策が取り上げられている。このうち第2章では、数値目標を掲げて「節電」(2030年までに1,100億kwh削減)、「省エネ」(同7,200万kl以上)、「再生可能エネルギーの拡大」(同3,000億kwh、現行の3倍に拡大)の3つを打ち出した。

第3章では、火力、コジェネを軸にした化石燃料の活用によって、電力の安定供給を下支えする政策に言及。さらに第4章、第5章では、今後の課題として、本年度中に電力システム改革策を、また、今年中に新たな地球温暖化対策をまとめる方針を示している。

 ただ、具体的な内容をみると、どの章にも、生煮えだったり、相互に矛盾する記述が存在したりする。また、2020 年時点の温室効果ガス排出量は、「原発の稼働が確実なものではないことからある程度の幅で検討せざるを得ないが、一定の前提をおいて計算すると、5~9%削減(1990 年比となる)」と、2020 年時点で概ね2割削減を目指していた従来の目標を引き下げた。

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