テレ朝が初の年間視聴率3冠王を手にするか!? 鍵を握るのは10月改編後にスタートする新番組の爆発力

 10月以降の3ヵ月間は年間視聴率争いの最終局面。9月の時点で視聴率1位のテレビ朝日が逃げ切り、1959年の開局から初の3冠王を獲得するのかどうかが注目の的だ。約30年間、トップの座を競ってきた日本テレビとフジテレビは当然ながら阻止を図る。勝負はまだ4分の1ある。

 10月は新番組が一斉に始まる改編期だが、各局の改編率を見れば、現時点での盛衰が浮き彫りになる。改編率とは新番組が占める割合。好調なテレビ局ほど番組を入れ替える必要がないから、改編率は低い。テレ朝はプライム帯(午後7時~同11時)でわずか10.18%。新番組は『相棒 シーズン11』など3本の連ドラくらい。連ドラは3ヵ月単位か6ヵ月単位で入れ替えることが最初から決まっているから、ほとんど現状維持に等しい。

 テレ朝と3冠王を争う日テレのプライム帯改編率は14%。両局を僅差で追うフジテレビは27.4%。フジの改編率が高くなるのは連ドラ枠が5本と多いせいもある。伝統的にバラエティーが強い日テレは連ドラ枠が2本しかない。

 一方、名門ながら近年は苦戦続きのTBSは改編率が高い。プライム帯で47.9%。およそ半分の番組を入れ替えてしまう。バラエティー強化を打ち出し、爆笑問題やダウンタウンの浜田雅功、ネプチューンら人気者が司会を務める新番組をズラリと並べる。浮上に向けて大勝負にでた。

編成部門は単に番組を並べているわけではない

 3冠王争いの決め手は言うまでもなく制作力だが、編成力もカギを握る。編成の役割を単純に言い表すと、どの番組をどんな時間帯で放送し、他局にぶつけるかということ。各局の編成マンたちの頭の中には常に裏環境(他局がどんな番組を放送しているか)や週単位、月単位の視聴率がある。

制作マンもそうだが、編成マンも職人だ。他局が話題の連ドラを始めるなら、その初回に採算度外視で大作映画をぶつけたり、制作費に糸目を付けないスペシャルドラマを放送したりする。出鼻をくじくためだ。初回を視聴者に見せなければストーリーの端緒が分からなくなり、連ドラには大ダメージ。自局にチャンネルを合わせる習慣をつけてもらう目的もある。だから改編期には山ほど特番が編成される。

 年間3冠王争いを展開する3局の制作力と編成力を考えると、視聴率争いの最終局面はかなり混沌としそう。テレ朝は『お試しかっ!』『相棒』などの安定度の高い人気番組を擁するが、シビアな勝負には慣れていない。約30年間もトップ争いを続けた日テレとフジの編成力には一日の長がある。終盤戦に入る12月になると、間違いなくテレ朝つぶしの編成を仕掛けてくる。

 日テレはスタジオジブリなどのアニメを流すはずだし、フジは自社制作の豊富な映画コンテンツ群を放送するだろう。事実、両局が演じた昨年の年間3冠王争いも最後は特番合戦になり、大みそかまで決着がつかず、小数点以下の数字が競われた。どちらにも特番用のコンテンツは潤沢だ。

 日テレ、フジの編成力を表すエピソードは事欠かない。今や各番組のスタート時間が「午後7時54分」などと中途半端でも驚かないが、日テレ編成部が1994年にこれを導入したときは他局を仰天させた。通称フライングスタート。他局が番組のエンディングや次週の予告をのんびり流しているとき、日テレは威勢よく次の番組を始めてしまうのだから、たまらない。ごっそり視聴者を奪われた。

 今ではテレ朝の『報道ステーション』なども午後9時54分スタートだが、日テレ編成部門が編み出すまでは誰も考えないことだった。いや、考えた人間はいただろうが、営業部門や系列局を説得するのが無理だった。日テレが「奇策」を繰り出した背景には「打倒フジ」の執念があった。

フジの編成部門もとんでもないことを考え続けている。当たれば大きい午後1時半からの昼ドラを午後4時台に移し、夕ドラにしてしまおうと考えたこともある。制作局・東海テレビの事情で実現しなかったが、夕ドラから『スーパーニュース』とリレーし、主婦の視聴者を釘付けにしようと考えていた。編成部門は単に番組を並べているわけではないのだ。

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