経済の死角

中国の都市中間層から生まれた暴力や略奪への批判。「愛国無罪」から「理性愛国」へ、反日デモの「静かな変容」は何を意味するのか

2012年09月22日(土)
upperline
〔PHOTO〕gettyimages

 その写真へのリンクが筆者のツイッターのタイムラインに流れてきたのは、9月15日深夜のことだった。「前方でクルマが壊されている、日本車はUターンを」---。大学生風の中国人青年がそう書かれた段ボールを掲げ、道路の真ん中に立っている。

「この暗黒の一日に、彼はわずかな希望の光を残してくれた。彼は西安市民の誇りだ」。写真にはそんな意味のコメントが添えられていた。

 最初は何のことだかわからなかった。気になって調べてみると、中国のインターネット上では思いもよらぬ事態が進行していた。中国人にとって「愛国的行為」であるはずの反日デモに対して、多数のネットユーザーが憤りや嘆きの声を上げていたのである。

日本車60台を救った西安の青年

 青年の写真が撮影されたのは、9月15日昼間に西安で起きた反日デモの最中だった。日本政府が尖閣諸島の国有化を決定した9月11日から、満州事変の発端となった柳条湖事件の記念日である18日にかけて、中国では各地で激しい反日デモが発生した。中でも15日は、西安、青島、長沙などの都市でデモ隊の一部が暴徒化し、日系デパートの略奪、工場への放火、日本車の破壊など過激な犯罪行為に及んだ。

 これに衝撃を受けたのは日本人だけではなかった。後に本人を取材した中国紙の記事によれば、西安の青年もまた愛国心を発揚せんとデモに参加した血気盛んな若者の1人だったという。

次ページ  ところが、デモ隊の興奮がどん…
1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事