Close up 夏場でもステーキ3皿にチャーハンを平らげる楽天の救世主 釜田佳直「二軍落ちで、目が覚めた」
かまた・よしなお '93年、石川県生まれ。中学1年までは捕手だったが、甲子園の斎藤佑樹と田中将大の投げ合いをテレビで見て感動し投手に転向。金沢高3年時には、エースとして春夏連続で甲子園出場を果たす。昨年のドラフトで楽天から2位指名を受けるが、「なぜ1位じゃないんですか」と担当スカウトに聞いた度胸の持ち主。身長177cm、体重84kg

プロなら緊迫した場面を楽しめる気持ちの強さがないといけない---

 8月16日の日本ハム戦、9回2死---。初の完封勝利まであと一人の状況で、マウンド上の楽天・釜田佳直(18)は、緊張を楽しむかのように笑みを浮かべていた。とても高卒ルーキーとは思えない、堂々とした態度だ。だが、ここから中田翔と稲葉篤紀に連打を食らい一、二塁のピンチを招く。迎えるバッターは、得点圏打率が3割を超える陽岱鋼。釜田は笑みを絶やすことなく、ボールに呟く。

「力むなよ、力むなよ」

 フルカウントから投じた118球目。得意のスライダーに、陽のバットが空を切る。釜田は本拠地『Kスタ宮城』の夜空に両手を突き上げ、喜びを爆発させた。

 歓喜のプロ初完封勝利から、約1ヵ月。Kスタ宮城で、釜田が晴れ晴れとした表情でこの試合を振り返る。

「自分の思い通りのボールで初回からテンポ良くストライクが取れたので、『ひょっとしたら9回までいけるかな』という感覚がありました。それまでは7回まで投げられないことが多かったですから、完封できたのは自信になりました」

 釜田のテーマの一つが、先発として7回を投げ切ること。「あいつは野球が9イニングだと知らないんじゃないか」と星野仙一監督に酷評されるほど、7回に崩れることが多かったのだ。原因は球数の多さ。そこで釜田は、尊敬するエースの田中将大(23)にアドバイスを求める。