会長派と社長派が激突するエース交易の内紛劇で浮き彫りになった「役員報酬6億円」ワンマン創業者の「借金問題」
エース交易のHPより

 商品先物大手のエース交易(本社・東京都渋谷区)で、代表権を持つ会長と社長が、それぞれ「解任」を画策、双方が「正当性は我にあり」というIR(投資家向け広報)を出し合う泥仕合を演じている。

 騒動が起きたのは9月6日だが、それから2週間が経った19日の時点でも解決しておらず、IR担当者に状況を問い合わせても、受付段階で、ある時は「担当は山崎(勝重・社長派の執行役員)です」と言われ、ある時は「担当はショーン・ローソン(会長派の取締役)です」と言われたりでバラバラ。

 まるで会社の体を成していない。

 何度も連絡して、ようやく電話口に出た山崎氏がこう釈明した。

 「収拾を図っているところですが、それが終わるまで混乱を助長するようなIRを出すべきではないと(ジャスダック)取引所にいわれ、以降、対外的な発表は控えています。第3者調査委員会も発足しており、いずれ発表できると思っています」

事実上の経営権はタイガー側に

 騒動を振り返ってみよう。

 発端は、今年4月27日、ケイマン籍の金融会社であるタイガー・トラストグループ(以下タイガー)と、資本業務提携を結んだことだった。エース交易がタイガーから8億円を調達、逆にタイガーグループ2社に出資して資本提携。同時にタイガーの海外ノウハウやシステム開発力を学ぶという"前向き"なものだった。

 不可解なのは、提携を受けた株主総会で、タイガーから4名の取締役を受け入れ、ジョン・フー氏を会長に就けたことだ。社長に就任したのは生え抜きの牧田栄次氏だが、日本側の取締役は牧田氏を含め3名。予約権を行使してもタイガーの持ち株比率は18%に過ぎないのに、エース交易は経営権をタイガーに譲ってしまった。

 その後、タイガーは「衣の下の鎧」を見せ始める。

 「当初、当社が引き受けるタイガー傘下企業の株式は、タイガーと同額の8億円だったのですが、なぜか16億円に跳ね上がってしまった」(同社関係者)

 牧田社長は拒否する。出資を要請された2社は、設立されて日が浅かったり、業績が良くなかったりで、出資に見合う価値がないと判断したからだ。

しかし経営権はタイガーサイドにある。ジョン・フー会長は、9月6日、出資その他を役員会で決め、IRを行うことにしていた。

 そこで牧田社長は、6日、苦肉の反撃に出る。4月27日の資本業務提携は、「当社元役職員ら数名による不適切な関与が存在する疑義が生じた」として、タイガー派の4名を「特別利害関係人」として決議に参加させず、日本人役員3名で、資本業務提携の解消、4役員への退任の申し入れ、疑義を解明するための第3者委員会の設置などを議決、その日のうちに開示した。

 むろん会長派は反撃する。翌7日、9月6日の決議はすべて違法だとして無効又は不存在を訴え、同日付で牧田氏を代表取締役から解職した。

 それに対して牧田氏は、9月11日に取締役会を招集、監査法人や顧問弁護士にも参加を要請、ジョン・フー氏の解任を議案として、その結果は記者会見を開いて公開する、としていたのだが、同日、「事情により延期」を開示、以降、会長派も社長派も、この騒動については口を開いていない。

 エース交易の立場からすれば、海外ファンドによる会社資産の収奪である。だが、タイガーサイドにすれば、契約を締結、株主総会で経営権を託されたうえでの事業展開だ。株式会社としての「理」はタイガーにある。

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