磯山友幸「経済ニュースの裏側」

消費税が定着した今、酒税を別途課税する必然性はあるか!? 消費税率引き上げを機に考えたい税制のあるべき姿

2012年09月19日(水) 磯山 友幸
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〔PHOTO〕gettyimages

 消費税率が現行の5%から段階的に10%に引き上げられることが決まり、酒やたばこに課されている物品税との「二重課税問題」が再燃しそうだ。酒やたばこには、高い酒税やたばこ税がかけられているが、その税額を含んだ小売価格に消費税が課されている。

 消費者の目から見れば、税金に税金がかかっているわけで、二重課税だという批判が根強くある。若者を中心にアルコール離れが顕著になる中で、税負担が大きくなれば、売り上げにも響きかねないと、酒造メーカーや小売店は危機感を強めている。

 酒類にかかる税金は重い。国税庁の資料の例示でみてみると、税率が低い清酒でも、1.8リットルで1,888円(税込)の商品の場合、酒税が216円、消費税が89円含まれている。税込価格に対する比率は16.2%だ。消費税率が10%になると消費税分が178円になり、税込価格の19.9%が税金ということになる。なんと一升瓶の5分の1が税金というわけだ。

 こうした例示は分かりやすいようでいて、実は、税率を見誤らせている。税抜き本体価格に対する税率という視点で考えれば、現行で19.3%。それが25.0%に上昇することになるのだ。

 ビールの税金はさらに高い。大瓶1本633ミリリットルで税込345円の商品の場合、酒税は139円、消費税が16円かかっている。税込価格に対する税金の割合は45%だ。これが増税後は47%に上がる。だが、前述のように税抜き本体価格に対する税率でみれば、82%から90%へと上昇することになるのだ。

 そんな高税率をなぜビールにだけかけるのだろうか。

酒だけに課税するのが「公正」で「中立」なのか

 もともと、酒税は伝統的に国家財政を支える1つの柱だった経緯がある。1896年(明治29年)に酒税法が制定されたが、1899年度(明治32年度)の段階では国の税収の3分の1が酒税による収入だったという。昔の人は良く酒を飲んだ、ということもできるが、産業基盤が脆弱な中で、法人税など他の税制がまだまだ未発達だったことがうかがえる。

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