固定電話をやめたいAT&Tと側杖を食らうハイテク業界

アナログ電話がなくなる日はもうすぐそこに(写真は1919年の電話交換機とオペレーター)〔PHOTO〕gettyimages

 固定電話を早くやめたい---9月10日、世界最大の電話会社AT&Tが固定アナログ電話の終了日を決めるよう連邦政府に要望書を提出した。たった3ページの要望書だが、そこには「アナログ電話の重い規制義務から一刻も早く逃れたい」という同社の思いが綴られている。

●「電話清算の促進をもとめる連邦政府への手紙」(2012年8月30日付)

 この要望書は連邦通信委員会(FCC)のMarlene Dortch氏(Secretary)に宛てたものだ。FCCは数年前からアナログ電話サービスの清算について検討を開始している。しかし、具体的な終了スケジュールや撤廃手順などについて、具体的な話は一切出ていない。AT&Tは動きが鈍いFCCに催促状を突きつけた。

はやくアナログ電話をやめたい電話会社

 グラハム・ベルに始まる長い電話の歴史は、2013年から15年あたりに終わると言われている。現在設置されている電話交換機の寿命が切れるからだ。日本でもアメリカでも、局用デジタル交換機の製造はストップしている。もし、交換機を延命させるとすれば、新たな設備投資が必要になる。

 全国で携帯電話が利用できる現在、私たちのほとんどはアナログ電話がなくなっても困らない。中小零細企業ではインターネット電話が普及している現在、アナログ電話の撤廃はそれほど大きな負担とはならないだろう。大手企業は企業内交換機(PBX)の高度な機能に依存している面もあるが、以前に比べて移行の障壁は低くなっている。

 もちろん、家庭やオフィス向けのセキュリティー・ネットワークや交通管制ネットワークなどには現在もアナログ電話が使われているが、電話ネットワーク全体から見ればごく少数のユーザーに過ぎない。

 アナログ電話は契約者の減少が続き、通話時間も減り続けている。大手通信事業者にとって、同サービスは赤字ビジネスに違いない。にもかかわらず、緊急電話の確保や僻地へのネットワーク整備などの規制義務は続いている。年々重荷となるアナログ電話ビジネスに耐えかねて、大手通信事業者は連邦政府にサービス終了日を決めるように迫っている。

 米国ではベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tがもっとも大きなアナログ電話網を持っている。都市型電話会社のベライゾンに比べ、AT&Tは広大な田舎にネットワークを張っており、その負担は大きい。今回、AT&TがFCCに要望書を突きつけたのは、こうした背景があるからだ。

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