二宮清純 レポート 平野佳寿 オリックスバファローズ・投手 試合の流れを断ち切る技術

 ピンチに現れるのがスーパーマンなら、彼も間違いなく超人だ。チームは今、CS進出を争う混戦のパ・リーグで、デッドラインに立たされた。でも、だから人一倍、縁の下のヒーローは燃えているのだ。

中継ぎがゲームを支配する

「抑えた時は誰も記者は集まらんのに打たれた時だけ集まってくる。それが僕らの仕事なんです。要するに抑えて当たり前やと・・・・・・」

 苦笑を浮かべて球界屈指のセットアッパーは切り出した。

 セットアッパーをして「縁の下の力持ち」とは、よく言ったものだ。スターターのように真っさらなマウンドを踏むことはできない。クローザーのように監督にウイニングボールを手渡すこともできない。

 抑えて当然。打たれれば戦犯扱い。いったい、どこにカタルシスがあるのか?

「相手に行きかかっている流れをパチンと断ち切り、涼しい顔で抑えの人に〝どうぞ〟とバトンを渡す。これはやり甲斐のある仕事ですよ」

 オリックスバファローズのセットアッパー平野佳寿は、この稼業を始めて3年になる。修羅場が彼の仕事場だ。

 '10年=63試合、7勝2敗2セーブ、32ホールド、防御率1・67。

 '11年=72試合、6勝2敗2セーブ、43ホールド、防御率1・94。

 今季は9月6日現在、63試合に登板し、5勝4敗5セーブ、21ホールド、防御率2・29。

 ちなみにホールドとは、リードや同点の場面で登板し、一定の条件を満たして次のピッチャーにバトンを引き継いだ場合に記録される。中継ぎのチームへの貢献度を示す指標だ。

 ほぼ2試合に1回の割合でマウンドに上がるのだから心身ともにタフでなければ、この仕事は務まらない。

 近鉄などで主にセットアッパーとして活躍した佐野慈紀の説明がわかりやすい。

「僕はピッチャーの役割について、こう考えているんです。先発はゲームをつくる人、抑えはゲームを締める人、そして中継ぎはゲームを支配する人なんです」

 ゲームをつくる、ゲームを締めるはわかるとして、ゲームを支配するとはどのような意味か。

「セットアッパーがマウンドに上がるのは、だいたい7回か8回。一番、相手の流れや勢いを感じるイニングなんです。