中国が発表した1兆元の景気対策が世界経済に及ぼす影響
1兆元の景気対策で世界経済は長いトンネルを抜けられるか〔PHOTO〕gettyimages

 9月中旬、中国政府は、高速道路や地下鉄の建設などを中心とする1兆元(約12兆円)の景気対策を承認した。経済専門家の間では「遅くとも7月には発表されると見られていた対策」が出たことによって、為替市場では資源国通貨が買い上げられる動きが見え始めている。

 今まで、鉱物資源の最も重要な需要国である中国の経済が減速していたこともあり、世界の鉄鉱石や石炭に対する需要がかなり低下した。それに伴い、主要資源国であるオーストラリアやカナダ、さらにはブラジルなどの通貨が低迷傾向を辿っていた。

 そこに中国政府の景気対策が出たことによって、今後、資源に対する需要が増加するとの見方が高まり、資源国通貨を売り持ち=ショートしていたファンド筋の買い戻しが入った。また、その動きに追随する資源国通貨買いが為替市場を賑わせ、オーストラリアドルは対円で、約1ヵ月ぶりの82円台を付けた。

減速が鮮明化する中国経済

 2008年9月のリーマンショック以降、世界経済を支えてきたのは中国だ。当時、4兆元の大型景気対策を実施したことによって中国の国内景気は一段と活発化し、鉄鉱石や石炭などの鉱物資源や化成品などの工業製品を積極的に輸入した。それによって、世界経済は緩やかながらも回復の道を歩むことができた。

 ところが、ここへ来て4兆元の景気対策の効果が殆ど消えてしまった。加えて、最大の輸出先である欧州圏の景気低迷によって、輸出の伸び悩み傾向が鮮明化し始めた。そのため中国の経済活動は減速を余儀なくされた。

 それに対して中国政府は金利を引き下げる金融緩和策を実施したのだが、経済活動水準の回復は遅れ気味となり、株価の下落にも歯止めが掛からない状況が続いていた。今回の財政出動は、そうした状況から脱するための切り札の一つとして実施されたものだ。

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