再び日本の航空会社が破綻する日がくる?!JAL再上場を機に考える乱脈経営で破綻した企業の国策救済は正当か
13日に開かれた新サービスの記者会見で再上場に言及した植木義晴社長〔PHOTO〕gettyimages

 日本航空(JAL)の再上場が明日(9月19日)に迫った。

 政府の企業再生支援機構が保有していたJAL株の売却では、一人の投資家を複数の証券会社が奪い合う厳しい状況がぎりぎりまで続いたが、たまたま米連邦準備理事会(FRB)が米経済のテコ入れ策を打ち出して日米の株式相場が急騰する援護射撃があり、なんとか簿残(売れ残り)の発生を回避できたという。JAL再建のために投入された公的資金(税金)が回収できたこと自体は国民として歓迎すべきである。

 だが、巨額の簿外債務(負債隠し)と航空機の値引きを利益に計上する過去の"粉飾決算"の処分が有耶無耶にされたうえに、淘汰されるべき企業が国家の後押しで存続したために航空市場の競争環境が歪んでしまったことは大きな問題だ。

 そこで、乱脈経営の実態を最初に暴き、経営破綻に至る顛末を記録し続けてきたジャーナリストとして、私は国策救済の一切のジレンマを、1冊の書籍『JAL再建の真実』(講談社現代新書)にまとめ、政府が企業経営に介入することの功罪を広く問うことにした。

表面的な数字以上に改善した経営の実態

「JALの決算にもう怪しいところは残っていないのですか。本当にV字回復したのでしょうか。それとも、まだ"粉飾決算"をやっているのですか」---。

 JALが破綻前も含めて過去最高の利益を稼ぎ出したと発表した今年5月の決算発表から、9月の再上場の数日前まで、筆者のところには「再建の真贋」を問う新聞、テレビ、雑誌、ラジオからの取材が途絶えることなく続いている。

 JALが会社更生法の適用を申請し破綻する3年以上前に、巨額の簿外債務を抱えながら、航空機購入の際に航空機メーカーから受け取るリベートを利益に計上するなどして、実質的な債務超過状態を覆い隠す決算処理をしていたJALの実情を『週刊現代』誌上などで再三にわたってスクープしたことに着目して、本当に大丈夫なのかとお墨付きを求めて来たのである。

 詳細は、拙著『JAL再建の真実』で確認して頂きたいが、あれほど破廉恥で悪質な決算処理は過去に類を見ないと言っていいだろう。

 ただ、私は、今回の再上場を間違った行為として批判する気は毛頭ない。

 誤解を避けるために明言しておくが、JALの経営は、同じ会社のものとは思えないほど改善した。

 航空機のリース料をはじめとして過去に簿外処理していた債務(負債)をバランスシートに取り込んだうえで、リース料も一般の借り入れの支払い利息と同様にきちんと処理したうえで、2012年3月期に過去最大の1,976億円の経常利益をあげているのだ。

 その意味では、表面的な数字に表れている以上に、経営の実態がよくなったのが、現在のJALである。

 その結果、企業再生支援機構が総額3,500億円を投じ、1株当たり2,000円で購入したJAL株は、今回の再上場前の売り出しで1株につき3,790円で売却できた。あの当時は、2次破綻が確実で公的資金(税金)をドブに捨てることになると見られていたのに、ハゲタカファンドでもなかなか稼げないような高い利回りをあげたのだ。

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