高橋洋一「ニュースの深層」
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金融政策のイロハも知らない自称「金融財政のスペシャリスト」も登場!「経済政策」から見た自民党総裁選5氏の「通信簿」

2012年09月17日(月) 高橋 洋一
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 今月は、民主と自民の代表選・総裁選がある。民主は野田佳彦首相が再選確実といわれているので、イマイチ盛り上がりに欠けている。総選挙すれば政権「交代」するとみられていることもあり、世間に関心を呼ばない。

 一方、自民はそれなりに盛り上がっている。親分である谷垣禎一総裁を追い落として自らが総裁候補にでる石原幹事長の動きも、「こんなのあり?」と人間模様として面白かった。自民総裁選候補は、安倍晋三元首相(57)、石破茂前政調会長(55)、町村信孝元官房長官(67)、石原伸晃幹事長(55)、林芳正政調会長代理(51)の「安原茂林町」だ。

 はじめの報道では、石原氏がリードという情報ばかりだったが、これは石原氏のバックにいる長老、マスコミ関係からでた話だろう。テレビでの数々の失言とともに、安倍氏、石破氏、石原氏の三つどもえの様相だ。9月3日付け本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33429)で予想したとおり、「安原茂」の争いだ。

 同じ自民党なので、もともと大きな政策の違いはない。しかし、経済政策では微妙な違いがあり、それが今後の経済を見るうえでは結構重要になってくる。本稿では経済政策に絞って、5氏の「差異」を見てみよう。

財政政策には大きな違いはない

 まず、その前に5氏の簡単な閣僚歴をおさらいしておく。

 安倍氏は小泉政権の官房長官(2005年10月31日 - 2006年9月26日)、安倍政権の総理大臣(2006年9月26日 - 2007年9月26日)。

 石破氏は小泉政権の防衛庁長官(2002年9月30日 - 2004年9月27日)、福田政権の防衛大臣(2007年9月26日 - 2008年8月2日)、麻生政権の農水大臣(2008年9月24日 - 2009年9月16日)。

 町村氏は小泉政権の外務大臣(2004年9月27日 - 2005年10月31日)、安倍政権の外務大臣(2007年8月27日 - 9月26日)、福田政権の官房長官(2007年9月26日 - 2008年9月24日)。そのほか、橋本政権の文部大臣、森政権の文科大臣等。

 石原氏は小泉政権の規制改革担当大臣(2001年4月26日 - 2003年9月22日)、国交大臣(2003年9月22日 - 2004年9月27日)。

 林氏は福田政権の防衛大臣(2008年8月2日 - 9月24日)、麻生政権の経済財政担当大臣(2009年7月2日 - 9月16日)。

 自民党は、8月31日に、「日本再生プラン」(http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf075_1.pdf)を発表している。基本的には各候補者が語る政策もその範囲内での発言だ。

 そのプランは、マクロ的な財政政策と金融政策、ミクロ的な成長戦略から成り立っている。ここで、もっとも立場が分かれるのが金融政策だ。財政政策では、5氏ともに3党合意を守るので消費税増税をどのような条件で行うかくらいしか違いがない。成長戦略は、かつての「産業政策」と同じで、政治家にとって既得権になりうるのでこれを強調するかどうかがわずかな違いになる。

経済政策では官僚依存が強い石破氏

 再生プランで金融政策については、「政府・日銀の更なる連携強化を図り、金融緩和の実効性を高めるため、政府・日銀の物価目標(2%程度)協定の締結、日銀による外債購入など、日銀法の改正を視野に、大胆な金融緩和措置を講じます。」と書かれている。なかなか気合いの入った文であるが、日銀法改正は「視野」なので、これに消極的な候補者もいる。

 安倍氏は、テレビでもデフレ脱却では日銀法改正を明確に主張している。また、「政府と日銀の関係について政策目標は同じくするべき。ただ、その手段は日本銀行が自由に使う。あるいは日本銀行の使命として物価安定もあるが、他の国では雇用を最大化するというのも入っている。そういうことも考えていくべき」と発言して、中央銀行の独立性について、マスコミは目標と手段の独立性を混同しているのに対してキチンと理解している。

 また、消費税増税では、デフレのときに税率を上げるべきでないと、5氏の中では唯一明確に述べている。小泉・安倍政権では増税なしでプライマリーバランス赤字を四分の一にしたから、財政再建のために必ずしも増税(税率の引き上げ)が必須と思っていない節がある。

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