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核心対談 田原総一朗×田崎史郎
橋下新党が勝つ可能性が高い

政策なんてどうでもいい

田原 橋下徹という人は、政治家としてとてもセンスがいいし、度胸もある。ただし、政策についての知識はない。これは橋下さん自身もよくわかっていて、いろんな人をブレーンにしているんですね。

 そのブレーンの顔ぶれを見たら共通項がある。たとえば経産省を飛び出した古賀茂明さん、やはり経産省(=旧通産省)OBの堺屋太一さん、前横浜市長の中田宏さんといった人たちが象徴的ですが、彼らは官僚が大嫌いなんです。だから、大阪維新の会の政策は当初、脱官僚の色合いが非常に強かったわけです。ただ、最近では橋下さんも、官僚をうまく使ったほうがいいんじゃないかと考えるようになった気がします。

 では、脱官僚色が薄まって、維新の会が何をやろうとしているかと言えば衆議院議員を半分にするとか、参議院をなくせとか、首相公選制の導入とか。僕は大阪都構想には全面的に賛成だけど、維新八策の多くは世論迎合で、疑問ありだと思っています。

田崎 そうですね。私も橋下さんはセンスや度胸があるし、何より「うまいな」という感じがします。ただし、維新の政策についてはよくわからない。維新八策を見ても、個々の政策をいつまでに実現するのかという目標年度がまったく書かれていない。10年後なのか20年後なのか。

 厳しい言い方をしますが、維新の会が今のような熱狂的人気を得られるのは次の総選挙まで、よく続いて来年の参議院選挙までだと、私は見ています。であればこそ、向こう4年間のうちに何を実現するのか。そこをはっきりしてもらわないと、有権者に判断材料を示したことにならないと思うんです。

田原 橋下さんは僕に「もともと政策には興味がなくて、政策は専門家がつくればいい。自分は体制をつくるんだ」と明言しました。

 彼が打ち出した大阪都構想、公務員制度改革、教育改革といった大きな柱はどれも賛成だし、いい改革だと思う。しかし、維新八策の中身は抽象的なんです。

田崎 それでも維新の会が支持を集めるのは、「維新の会」という存在そのものが、政治を変えてくれる「記号」になっているからでしょう。

田原 そうですよ。政策の中身はともかくね。

田崎 維新の会と政策でいちばん近いのは、みんなの党です。みんなの党は今年初めから、古賀さんや元財務官僚の高橋洋一さんを維新の会に送り込んで、維新八策がみんなの党の政策に近くなるように積み重ねていった。それなのに、最近ではみんなの党を抜けて維新の会に合流しようという議員が出たり、渡辺喜美代表と橋下さんのトップ会談が物別れに終わったりして、両党の関係は悪化しています。渡辺さんからすれば、橋下さんに突然、肘鉄を食らったような気分に違いありません。

 なぜそうなったか。ある自民党議員によると、結局、橋下さんは渡辺さんを信用していない、と。また橋下さんに近い中田宏さんと、みんなの党の江田憲司幹事長が不仲で、うまくいかなかったという説もある。

田原 みんなの党自体、渡辺さんと江田さんの仲が悪い。一本化していない。

田崎 いずれにしても、橋下さんたちは案外、政策に関する考え方の違いより、人間関係で判断しているのかもしれない。もっと言えば、自分たちにとって役に立つかどうかで、非常に合理的な判断をしているんじゃないかと思います。

田原 それは明確でしょう。渡辺さんはやや強引に、みんなの党を中心にした維新の会との合流を考えていた。実際、みんなの党にはすでに衆参合わせて16人の国会議員がいるのに、維新の会はゼロですから。

 ところが橋下さんにしてみれば、冗談じゃない、維新の会が中心だと。

田崎 渡辺さんは、維新の会は国政を知らないのだから、自分たちが面倒を見てやるという気持ちだったはずです。ところが、橋下さんは、それはたいした問題じゃない、こっちのほうがずっと勢いがあるという判断だったのでしょう。

田原 それに、そっち(みんなの党)は分裂寸前じゃないかという思いもある。

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