官々愕々
官僚が熱を上げる「維新・みんな」潰し

 参議院で野田総理の問責決議が可決され、終盤国会は審議が行われないまま閉会された。永田町は、今月下旬に行われる民主党代表選と自民党総裁選、さらには、「近いうち」に行われるはずの解散・総選挙へと走り出している。これら一連の政治日程において、大阪維新の会が極めて重要な役割を果たすことは誰もが認めるところだ。

 維新の会が誰と組むのかという報道が過熱するのは自然なことだが、その中で、意外なニュースが流れた。事の真偽はともかく、維新の会とみんなの党の連携が頓挫したというのである。

 永田町の視点で見た解説はいろいろと行われているが、これを霞が関の視点で見るとどういうことになるのか。先週は、安倍元総理と維新が連携すれば、原発推進の方向に維新の政策がぶれるのではないかと経産官僚が期待しているという話をした。それと似たような構図で、維新とみんなの連携が崩れることを最も期待しているのが、実は霞が関の官僚達であるということをお話ししよう。

 先日あるテレビ局で、某省の幹部達が維新とみんなの連携潰しにやっきになっているという話を聞いた。そのやり方はいろいろある。維新の府議や市議に対して、「みんなの党の幹部が維新の悪口を言っていた」とか、「みんなは維新を利用しようとしている」といったネガティブ情報をおびただしい数のルートで流す。

 多くのルートで同じ話が入ると人間はついこれを信じたくなる。維新のメンバーも同じだ。これにより維新の中にあるみんなとの連携に慎重な意見を強力に後押しすることにつなげる。以前、長妻厚労相に対して官僚達が官邸とマスコミに大量の長妻批判を流して更迭に追い込んだやり方にそっくりだ。

 何故、官僚達が維新とみんなの連携を潰したがるのか。それは、みんなの党が一貫して非常に革新的な公務員改革の旗を掲げているからである。これまでは、自公民の談合により、こうした案が日の目を見る可能性はなかったが、維新の会とみんなが組むとその実現が急に現実味を帯びて来る。

 みんなの党の渡辺代表は安倍政権と福田政権の時に行革担当大臣を務めて、小泉内閣でも手を出せなかった公務員改革に命がけで取り組んだ。そして天下り禁止法案などを通したことを、官僚達は良く覚えていて、その二の舞にならないようにと今から手を打っているのだ。

 一方、維新との選挙後の連携に意欲を見せる安倍元総理に関しても、公務員改革に熱心だったという実績があるから、官僚達はこれも阻止したいと考えてもよさそうなのだが、そういう動きは見えない。何故なら、安倍政権時の公務員改革を実際に進めたのが誰かということを官僚達は良く知っている。あの時は、自民党のほとんどは改革に反対だった。安倍氏は自民党の一員。いくら頑張っても渡辺氏のような核弾頭無しでは闘えるはずがないと官僚達は見ているのだ。

 維新の会とみんなの党には共通のブレーンも多い。安倍政権時代の公務員改革担当の渡辺大臣を支えたブレーン達が、今は橋下氏の大阪での公務員改革を支えている。彼らの革新的なアイデアを孤軍奮闘で実現した渡辺氏が率いるみんなの党。組合の力が異常に強い大阪で同じブレーンに支えられて強力に改革を進める橋下氏が率いる維新の会。この二つが連携したら、天地がひっくり返るような改革が進むかもしれない。官僚にとってはまさに悪夢だ。霞が関が総力を挙げてこの連携を潰しに動いているという見方は極めて的を射ているのではないか。

「週刊現代」2012年9月22・29日号より

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