秘密は「ガハハ系」にあり!壊滅寸前の家電メーカーに比べ、なぜ自動車産業は円高とグローバル化を乗り越えて元気なのか? 

 「あの日米貿易摩擦の真っ最中にねえ、彼らはアメリカに旅立ったんですよ。今の我々があるのも彼らのおかげなんですよねえ」

 先日、ある自動車部品メーカーの経営者と話をしていたら、そのような話になりました。

 「彼らもね、定年退職を迎えているんですよ。私たちの海外進出も第2、第3世代になってきています」

 私は仕事柄たくさんの経営者とお会いしています。大企業から中小企業まで見ているので、中小企業の社長さんとの面談は日常的です。そしてそのような中小・中堅企業は電器産業、自動車産業の会社の比率が非常に高いです。日本の家電産業や自動車産業は数多くの部品会社によってすそ野が支えられているのです。

下請け企業にグローバル化人材がごろごろ

 最近はシャープやソニー、パナソニックなど家電メーカーの不調が業績、株価ともに著しく、一方で、自動車産業はとても元気です。その差はいったいどこで生まれたのでしょうか。現場で中堅企業を日常的に観察している者からすると、産業の下請け企業のグローバル化比率の差にあったのではないかと感じています。

 電器産業も自動車産業もセットメーカーはみな世界中に工場があり、資材や資金の調達もグローバル化しています。その部品供給会社も多くは海外進出をしているので、総合電機も自動車産業も海外進出の歴史は古くすそ野も広いわけです。

 ところが2次下請け、3次下請けのレベルになると電器メーカーの工場の海外進出比率が下がっているように感じます。一方で自動車メーカーは2次下請け、3次下請けにいたるまで海外で生産している会社の比率が非常に高いのです。

 だから、自動車産業の経営陣は、2次下請け、3次下請けの会社であっても、役員陣の海外駐在経験が長く、海外事情に明るい人が多く、その点での人材のグローバル化比率が高いように思います。アメリカで10年、中国で10年、ベトナムに5年います・・・というような人が、すそ野を支える部品会社にはゴロゴロいます。

 自動車業界は1985年のプラザ合意の前後から積極的に工場の海外移転を始めました。米国との激しい貿易摩擦により、自動車メーカーは製品の現地調達比率を劇的に高めていくことを要求されました。貿易摩擦によって、結果的に海外の現地部品調達率を高められたことが、今、自動車産業の隆盛の大きな要因になったのだと思います。

 現地調達は、その後始まった円高の推進ともあいまって経済的にも必須の経営判断であったということです。もちろん電器の業界にも半導体摩擦というものがあり、日米でバチバチやりあった歴史があるという意味ではどちらもほぼ同じです。しかし、自動車産業には電器産業と比較して3つの違いがあります。キーワードは①重さ、②命、③オーナー比率です。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら