「10月解散総選挙」は消えた。谷垣自民党総裁に続いて野田総理が財務省にポイ捨てされる日
日本記者クラブ主催の討論会に出席した民主党代表戦候補者〔PHOTO〕gettyimages

 民主党代表選と自民党総裁選に出馬する候補者の顔ぶれがそれぞれ決まった。同じタイミングで橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会も、新しい政党「日本維新の会」を立ち上げた。次の政権の枠組みは民主、自民両党の新しいトップと日本維新の会の動向が大きな鍵を握る形になる。

 これからどうなるか、は流動的な要素が多すぎて予想できないが、どうやら衆院の10月解散は先送りされそうだ。

 野田佳彦首相は谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表と会談した後で「近いうち解散」を表明した。肝心な部分は野田と谷垣2人だけのサシだったので、どんなやりとりがあったか分からない。谷垣は私も同席した田原総一朗のテレビ番組「激論!クロスファイア」(BS朝日)で「いろいろ意見の違いはたくさんあったが、外に出すのは『近いうち』という話だけにすることで合意した」と語っている。

 その谷垣は総裁選不出馬を表明した。となると、野田は谷垣と具体的な解散時期に踏み込んで話し合っていたとしても、もはや谷垣との口約束を守る必要があるかどうか。「公党間の合意」と言えなくもないが、あいまいだった解散時期は一段とあいまいになった、とみていい。

次の自民党総裁が野田民主党との連立に前向きかどうか

 野田は先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の折に、ロシアのプーチン大統領に対して12月にロシアを訪問する意向を表明した。プーチンも野田の訪ロを歓迎した。相手は一国の大統領である。素直に受け止めれば、野田は「12月まで解散するつもりはない」という話になる。

 9月12日に開かれた日本記者クラブでの公開討論会では、野田は2012年度補正予算を編成する方針も明言した。少し前には13年度予算編成にも意欲を示している。これも年内には解散しない話になる。内閣改造にも言及した。

 さらに足下を見渡せば、もともと総選挙での敗北が確実視される中、早期解散を求める民主党議員はほとんどいない。むしろ野田が解散先送りをほのめかせば、ほのめかすほど「それなら野田でもいいか」という野田再選容認論が広がる形勢にある。

 谷垣不出馬と予算編成、12月の訪ロ、民主党内の反対論とこれだけ材料がそろって、それでも巷間伝えられるような「10月解散、11月総選挙」という話はいまでも生きているのか。私は10月解散説は消えた、とみる。

 野田の戦略目標はなにか。それは「次の政権でも政権与党の一角に食い込む」ことだ。たとえ民主党が総選挙で大敗北を喫しても、自民党が第1党になるなら、3党合意をてこにして自民党との連立政権を目指す。選挙に負けたうえ、政権の座からも滑り落ちるような事態になっては、民主党自体が空中分解しかねない。それは避けたいはずだ。

 となると、野田にとっては次の自民党総裁が野田民主党との連立に前向きかどうかが、政権運営の最大の判断要素になる。

 谷垣執行部の一員である石原伸晃幹事長や町村信孝元外相、石破茂前政調会長、林芳正政調会長代理は3党合意を進める立場を明確にしている。それが直ちに民主党との連立につながるかどうかは不明だが、可能性は十分あるとみていい。

 これに対して、安倍晋三元首相は明確に民主党との連立に反対の立場だ。3党合意についても、日本維新の会を視野に入れ、新たな勢力を加えて再構築する可能性に言及している。いずれにせよ、野田は党代表に再選されれば、新しい自民党総裁と党首会談を開いて、3党合意やその先にある連立の可能性について突っ込んだ協議をする運びになるだろう。解散に踏み切るかどうかは会談の結果次第だ。

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