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ITトレンド・セレクト
2012年09月18日(火) 小林 雅一

アップルに降伏したフェイスブックとHTML5の行方 【後篇】

HTML5対応のブラウザ一体型OS「BootToGecko(後にFirefox OSへと改名)」を搭載したスマートフォン(筆者がMobile World Congress 2012で撮影)

【前篇】はこちらをご覧ください。

 フェイスブックはアイフォーン向けアプリを全面的に作り変えた理由について次のような公式見解を出している。

 「我々は決してHTML5を捨てたわけではない。ただ現時点で、それ(HTML5)はまだ使える段階にはない(It's not there yet)ということだ」

 この見解がまた、IT業界関係者の失望を招いている。というのも、この種の発言、つまり「決して諦めたわけでないが、しかし使うとすれば、もっと先の話だ」という発言は、スピード重視のモバイル業界では事実上の「使えない」宣言に等しいからだ。

 しかし本当にHTML5は(少なくともモバイル業界では)役に立たない技術なのだろうか? 問題は、そのような公式見解を発表したフェイスブックの真意にある。結論から言うと、今回のフェイスブックの動きは、実は株価対策的な意味合いが強い。つまりフェイスブックはずっと、業界アナリストらから「モバイル・ビジネスが弱い」と言われ続けてきたので、そこに力を入れることを投資家に示す必要があった。そこでウエブ・アプリ(HTML5)からネイティブ・アプリに切り替えたのである。

 要するに「ウチのモバイル・ビジネスが上手く行かなかったのは、HTML5を使ったからです。そこから手を引くことにしたので、投資家のみなさん、安心してください」と言いたいのだ。

 しかし、これは同社の根本的な問題を覆い隠そうという意図が透けて見える。つまりフェイスブックのモバイル・ビジネスが上手く行かない真の理由は、グーグルの「アドワーズ(検索連動広告)」のような決定的ビジネス・モデルが見つからないからであって、HTML5のような技術的な要因からではない。しかしアドワーズのような金の生る木が、そう簡単に見つからない以上、何か他の悪者を探す必要がある。そこでHTML5で制作されたウエブ・アプリへと問題をすりかえたのである。これなら簡単に作り直すことができるからだ。

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