公的資金による企業再生支援のルールを明確に! 自民党有志が「公正競争条件確保法案」を議員提案へ

 民間企業が経営危機に陥った際に、どこまで国の関与が許されるか。国民の税金である公的資金を、経営に失敗した私企業につぎ込むのが認められるのはどんな場合か。実はこれまで我が国には、その明確な線引き、ルールがなかった。特定の企業を公的資金注入で助けるかどうかが、所管官庁の胸先三寸で決まるとすれば、「業者行政」の極みと言っていいだろう。要するに、戦後日本は、長らく競争政策という観点が全く不十分なままで来てしまったのだ。

 前々回の本コラムでも指摘したように、日本航空(JAL)の救済・再生の過程で、過剰な公的支援が航空業界の競争状態を歪めている事が明らかになった。公的資金を無秩序に投入し、過剰な許認可権の行使などを通じて特定の経営破綻企業を助けると、むしろ健全な経営をしてきた同業他社の方が不利な立場に立たされる。正直者がバカを見る羽目になってしまうのだ。

 それではあまりにもおかしい。そこで我々自民党有志議員は、こうした問題における先達であり、既に「EU(欧州連合)ガイドライン」としてルールが確立しているEUの政策を参考にして、議員立法によってその歪みの是正に取り組むことを決断した。

 8月28日に自民党政務調査会の「内閣・財務金融・経済産業合同部会」を開催、「公正競争条件確保法案」を審議した。正式には「公的資金再生事業者と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保に関する法律案」と言う。そこでは若干の修正が提起されたものの法律内容については賛同が得られ、自民党総務会等への付議、通常国会上程を前提に、その扱いを三部会長に一任することとなった。

 私達は何としても9月上旬に閉幕した通常国会に法案を提出をし、JAL再上場を前に、政府による公的支援のあり方等について国民が考え直す機会を作れれば、と思っていた。残念ながら、野田佳彦首相に対する問責決議が可決されたことなどを受け、国会が事実上の休会状態になり、結局それが不可能となってしまった。次の臨時国会の冒頭には必ず提出したいと考えている。

公取委が行政機関の長に勧告を出す

 法律の中身はシンプルで、2つの柱からなっている。1つ目の柱は、公的資金による企業再生支援が公正かつ自由な競争を阻害するおそれがあることを認め、公正取引委員会が、公的資金による再生支援や許認可権等を通じた支援などのガイドラインを策定することである。

 これに従わない支援が行なわれた場合、公取委は是正のための勧告を支援の主体(今回のケースであれば企業再生支援機構)や行政機関の長に対し行なうことができる。こちらが法案のメインだ。

 もう1つの柱は、実際に公的支援によって企業再生支援が行なわれた場合の、税制とその他公的支援による恩典の二重取りを解消する規定だ。平成23年度の税制改正で、平成24年4月1日以前に会社更生等の手続開始の決定を受けた法人については、7年間は所得の100%、欠損金による繰越控除が認められるという特例措置がある。これを通常の80%に引き戻す規定だ。

 今回の法案の最大の論点は、1つ目の柱の規定の中にある「公取委が行政機関の長に勧告を出す」という部分だ。例えば今回のケースで言えば、国土交通大臣は内閣の一員として、自らの判断で、JALに対して、公的支援を行なうことができる。

 現状では、こうした政策に注文を付けられるのは国会だけだ。国会は大臣が主導する公的支援が、公正な競争環境を歪めると判断した場合、首相や担当大臣の不信任や問責決議をすることで抑制することができると考えられる。

 しかしこれまで日本では、役人・政治家等が業界、あるいは特定企業と組み、結託してその業界や特定企業の利益に応え、政治家は献金、役人は天下り先を得るという、悪しき「省庁縦割り業者行政」の時代を築いてきたのは周知の通りだ。公正な競争環境を保つことへのチェック機能が働かず、消費者や一般国民がそのツケを払わせられてきたわけだ。

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