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広島カープ前田健太、野村祐輔、堂林翔太など なぜこのチームに名選手が続々と現れるのか カネをかけずに結果を出す方法

2012年09月20日(木) 週刊現代
週刊現代

 野村だけではない。先発ローテーションを組むエース前田も大竹も福井優也(24歳)も、ドラフト1位選手。しかもハズレ1位の福井以外は、すべて単独1位指名に成功している。

 苑田氏は言う。

「ウチは、戦力にかける資金も限られるから、FAにも、ほとんど参戦しない。だからこそドラフトでは、競合は避け、確実に『一番必要な選手』を獲りにいくことが求められるんです」

 実は広島には、現場と編成が共有する、「育成と補充の計画表」が存在する。

「広島は一貫して、2~3年先を見据えたチーム作りをしています。巨人など資金が潤沢なチームは、ちょっとした綻びをいくつもの蓋で埋めようとしますが、広島は伝統的に、穴の大きさも正しく計測して、ピタリとハマる栓を自前で作ってきたわけです」(広島担当記者)

迷うやつはいらない

 現在、本塁打数チームトップの堂林翔太(21歳)ももちろん、「栓」の役目を果たす適材として、獲得された内野手である。その狙い通り、栗原が故障で抜けた穴を、今季は堂林が、必死に埋めている。

 そして一度「栓」が決まれば、とことん鍛え上げ、使える選手に仕立てるのも、広島の特徴だ。

「彼は、この10年でも特別なオーラを持った選手だった。例えば新井貴浩(35歳・現阪神)などからは、オーラは感じなかった。我々は、こうした選手を育てる『義務』があるんです」

 昨年まで二軍監督として堂林の指導に当たった山崎隆造氏は言う。今春キャンプでは、野村謙二郎監督もまた、山崎氏と同じセリフを何度も繰り返していた。

「堂林を一人前にすることが、今年の最大の仕事だ」

 その言葉通り、野村監督は昨年まで一軍未出場だった堂林を、開幕から一度も二軍に落とすことなく使い続けている。

「江藤智、東出、栗原、そして前田健太。堂林は、『広島の顔』の系譜に連なる選手だということです」(山崎氏)

 野村監督は、堂林の失策で落とした、何度目かの敗戦のあと、自らノックバットを振りながら、彼にこんな言葉をかけている。

「お前のせいでいくつ負けたと思っているんだ! 自分の力で取り返せ!」

 堂林の守備率はあまり改善されていない。1年目、2年目と二軍で獲得した三振王のタイトルは、今年は一軍で、それもダントツで獲得しそうだ。一方、昨季二軍で1本しかなかった本塁打は、今季一軍で、すでに11本放っている。

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