成功したウラジオストク日露首脳会談。解散を先延ばしした12月の野田首相訪露が「北方領土交渉」の歴史的転換点になる
PHOTO:Gttey Images

 8月10日の李明博韓国大統領による竹島上陸、同15日の香港の活動家による尖閣諸島・魚釣島への上陸が続き、領土、国家主権をめぐる問題で、日本は韓国、中国との二正面作戦を余儀なくされている。

日本はロシアとも北方領土問題を抱えている。交渉術を間違えると、中露韓の三正面作戦になってしまうが、9月8日、ロシア・ウラジオストクで行われた日露首脳会談で、野田佳彦首相は三正面作戦の危機を脱することができた。所与の条件下、野田首相はロシアのプーチン大統領から最大の成果を引き出したといってよい。日露首脳会談に関する朝日新聞の記事を引用しておく。

<首相訪ロ「12月めど」で合意 日ロ首脳会談

 野田佳彦首相は8日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で訪れているロシア・ウラジオストクでプーチン大統領と会談した。領土問題について秋に次官級、11月に外相間で協議することで一致。経済協力も進めるため、首相の次の訪ロを「12月めど」とすることで合意した。

 野田首相は「協力を進めるには国民感情への配慮が必要だ」と指摘。7月のメドベージェフ首相による北方領土上陸をふまえ、自制を求めた。そのうえで北方領土問題を解決して平和条約を締結するという日本政府の立場を示し、「双方が受け入れ可能な解決策を見つけるべく首脳、外相、事務次官レベルで議論を進めたい」と提案した。

 これに対し、プーチン大統領は「世論を刺激せず、静かな雰囲気のもとで解決したい」と述べたうえで、次官級などの協議には同意した。

 両首脳は、天然ガスをサハリンや東シベリアからパイプラインでウラジオストクの基地へ運んで液化し、日本に輸出する計画を進めることも確認。基地建設に関する文書に両国代表が署名した。プーチン氏は「経済関係の強化に一歩を踏み出した」と歓迎した。(ウラジオストク=土佐茂生、西村大輔)>(9月8日、朝日新聞デジタル)

筆者に接触したロシア関係者

 日露首脳会談の前にロシアはさまざまなルートを用いて、野田政権の安定性について調査していた。7~8月にかけて、ロシアの大統領府、首相府、外務省に影響を与える筆者の知人(複数)が来日し、さまざまな調査を行っていた。

筆者は、
「現政権の野田佳彦首相、斎藤勁内閣官房副長官、前原誠司民主党政調会長(前外相)は、対露関係の戦略的提携を強めようとしている。野党自民党の森喜朗元首相も同じ路線だ。

玄葉光一郎外相は、率直に言って、野田、斎藤、前原、森の4人較べると、レトリックが先行し、北方領土交渉の経緯や2001年3月のイルクーツク声明が持つ意義を十分に理解しているとはいえない。ただし、玄葉外相はバランス感覚に優れているので、野田対露外交を支える方向で動いているし、それは今後も変わらない。日本の政局は流動的だが、これは国際社会が帝国主義的再編を行っている現状に日本の政治エリートが十分に対応できていないから起きていることだ。この情況は野田政権後もしばらく続く。

 野田首相は、本質において帝国主義者で、勢力均衡外交の意味が分かる。それだから、プーチン大統領とは波長が合うと思う」
という説明を、金太郎飴のようにロシア人たちに繰り返した。今回の日露首脳会談の結果を見ると、筆者の働きかけも若干の効果をもたらしたようだ。

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