野球
二宮清純「石井琢朗という職人」

 広島の石井琢朗内野手(42)が先頃、今季限りでの引退を表明しました。この時期での引退表明には「オマエら、頑張れよ」というチームメイトへの激励の意味も込められていたようです。

「琢朗さんとともにCSへ」

通算2425安打は歴代11位を誇る石井

 広島は9月6日現在、借金3ながら4位・東京ヤクルトとゲーム差なしの3位。クライマックスシリーズ出場の可能性は、まだ十分残されています。石井選手の引退表明はチームの発奮要因になるのでしょうか。

 思い出すのはロンドン五輪の競泳での松田丈志選手の発言です。「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」。100メートル、200メートル平泳ぎでメダルを逃した北島康介選手に向けられたものですが、この一言で男子400メートルメドレーリレーチームは発奮し、見事、銀メダルを獲得しました。

 広島でも前田健太投手が「琢朗さんとともにCSに行きましょう」とファンに語りかけました。CS出場を引退の花道にしてもらいたいという思いがあるのでしょう。

 石井選手と言えば、私が最も印象に残っているのは1998年の西武との日本シリーズです。横浜の1番ショートとして出場した石井選手はシリーズMVPこそ逃したものの、打率3割6分4厘、出塁率5割、3盗塁という大活躍で38年ぶりの日本一の立役者になりました。