シリーズ 子供たちの「遺書」川崎市中3男子硫化水素自殺事件「死人となっても必ず復讐します」

2012年09月08日(土) フライデー

フライデー経済の死角

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野球が好きだった真矢君の遺品。左下のバッティンググローブを〈形見にして下さい〉と、遺言に書かれていた

 しかし、真矢君たちの声を受け止めるはずの学校の対応は、ひどいものだった。「遊びだと思った」「把握していない」として、いじめを認識しようとしなかったのだ。ようやくいじめの事実が認定されたのは、真矢君の自殺後に調査委員会が学内に設けられてから、約3ヵ月も経った後のことだった。結果、遺書に実名が挙げられた4名のうち、3名は'10年8月24日に暴力行為法違反で横浜地検川崎支部に書類送検され、横浜家庭裁判所に送致。その後'11年3月3日の少年審判で保護観察処分が下された。当時13歳だった残り1名は、児童相談所に通告された。

 しかし、中学を卒業した加害者たちは、その後順調に高校に進学。加害者とその家族は、今現在、事件とどう向き合っているのか。自宅を訪ねた。

 同級生のAの母親とは自宅前で会った。呼びかけると、驚いて足を止め怒ったようにこう捲し立てる。

「何ですか突然。何でそんなことを聞くんですか。そんなことノーコメントです。何度来ていただいてもお話しすることは一切ありません」

 野球チームで副キャプテンだったBの自宅を訪ねると、インターホンに母親らしい女性が出た。篠原君の件でと言うと、声を詰まらせながら「私は留守番で分かりません。家族は皆病院へ行き、いつ帰るか分かりません・・・・・・」と苦しそうな声が聞こえてきた。その後CとDの自宅も訪ねたが留守。電話も応答がなかった。

〈必ず復讐します〉との憎しみを露に死んでいった真矢君。たとえ学校と市がいじめを認め、司法が加害者を裁いたとしても、遺族の悲しみと怒りは癒えることはない。いじめをなくすには、教育現場が気付きその事実を認め、悲惨さを子供たちに伝えていくことしかないのだ。

「フライデー」2012年9月14日号より

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